農民運は4月1日、次の声明を発表しました。

〔声明〕

米関税化の強行に抗議し、WTO協定の改定を求める

99年4月1日 農民運動全国連合会

 政府・自民党は自由党・公明党を抱き込んで、米関税化実施の関係法の成立を強行した。これは日本の米と農業にさらに大きな困難をもたらすものであり、国民と農民に事実を隠し続けての昨年来の暴挙に、怒りをこめて抗議する。

不真面目な自民党議員

 われわれは全国各地で米関税化反対の団体署名を行う一方、国会前座り込み・要請行動を含む5回にわたる統一行動を行った。
 上京代表団が国会を傍聴して驚いたのは、自民党・自由党・公明党の議員の審議の不真面目さであった。衆議院農林水産委員会では自民党議員の欠席が多く、出席している議員も週刊誌をめくったり、私語にうつつをぬかしたり、野党が痛いところを突けば野次を飛ばす、採決にあたっては共産党や民主党、社民党が反対討論をしただけで、自民党は何も発言も討論もしないありさまであった。
 苦悩する農民とは千里のへだたりがある。
 公明党も「国民合意ができていない」などと批判的なポーズをとりながら、採決では賛成に回った。参議院では野党が多数であり、公明党が反対に回れば関税化法を阻止できただけに、重大な裏切りである。
 民主・社民両党が今回反対に回ったことは評価できるが、傍聴者には見えない「理事懇談会」などで審議日程を決めるときの態度には一抹の疑念をぬぐえない。とうてい審議が尽くされたとはいえないのに、審議未了寸前の3月31日までに採択する日程を決めるなど、自民党に協力したのが両党だった。社民党の理事が「政府・与党に恩を売った」(日本農業新聞、3月24日)と書かれたのはその一例である。民主党も同罪である。
 国民や農民に何も知らせずに関税化したことについては、自民党議員ですら「唐突だった」「(農民連などが送った)ファックスがどんどん来ている。これで国民合意ができたといえるのか」と言わざるをえなかったが、これはわれわれの主張の正当性と運動の影響を裏書きするものである。

関税化の論拠はすべて崩れさった

 国会での審議、とくに日本共産党の追及によって、米関税化を急いだ政府・自民党の論拠はすべて崩れさった。
 第一に、ミニマム・アクセス米の輸入の増加率を、関税化によってこれまでの半分に減らせることが「国益」だというが、ミニマム・アクセスが義務だという条項はWTO農業協定のどこにもなく、日本政府の勝手な解釈であって、現に韓国の米、アメリカのアイスクリームの輸入実績はミニマム・アクセスにはるかに達していないことが明らかになった。ミニマム・アクセスが「輸入義務」だと言い張り、「輸入しながらの減反」を押しつけてきた自民党政府の論拠が崩れたこと、関税化しなくても済んだことは明白ではないか。
 第二に、当初、政府・自民党・農協中央は「高関税がかければ、米の輸入は阻止できる」と大見得を切ったが、論戦のなかで最後には「交渉ごとだから……」と関税が下げられてゆくことを否定せず、確答を避けるありさまだった。それならば、関税を払えばいくらでも輸入されることになる。
 第三に、政府は「みずから関税化してEUなどと対等の立場に立てば、次期交渉で有利になる」と言ってきたが、それはまったく逆である。拙速な関税化がヤブヘビだったことは、世界から異議申立や保留が続出した世界の動向からも明らかであり、何の見通しもなく関税化を急いだ政府・自民党の責任は二重三重に重大である。

国際的にも通らない

 条約(譲許表)修正が成立していないのに、国内法だけで関税化を強行するのは、国際的にも通用するものではない。われわれは、今後も政府に対して関税化撤回を要求し続ける。同時に、次期WTO交渉において、食料自給率向上などの食料主権や環境保護など農業の多面的機能の尊重などを根拠に協定を改定し、米をはじめ主要な農産物を関税化の対象から除外することを要求する。

国内でも世界でも世論と 運動を大きく

 日本農業の現況は大変にぎびしい。自民党政治とWTO農業協定は「生産を刺激する政策をとるな」という立場を取り続けているが、21世紀に向け食料・農業問題が深刻化し続けている事態にまったく逆行しており、早晩必ず破綻することは明らかである。
 われわれはWTO農業協定の改定をめざし、国内でも世界でも、世論と運動を大いに盛り上げるために全力を尽くすものである。
 また、地域の農業を守るうえで、首長や議員を住民が直接選挙する自治体の役割が大きいことは、全国の例が示している。われわれは、自治体に積極的な提案をして地域農業の再生をめざすとともに、米関税化強行後、初めての国民的審判の場であるいっせい地方選挙で、自民党とそれに同調する勢力にきびしい審判を下すことを心から訴える。
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