「農民」記事データベース20000626-454-02

米価暴落の原因は外米輸入なのに、なぜだ!?

全農・経済連が今年も輸入・販売


 九九年産の自主流通米価格は、全銘柄平均で一万六千七百五十六円(一俵=六十キロ)。史上最高だった九三年産米と比べれば、六千円、約三割もの暴落です。

 政府は六月九日に発表した『農業観測』で「(米価は)下げどまり、ほぼ横ばい」などといっていますが、暴落水準が「横ばい」しているのが実態。

 暴落の原因は野菜と同様に外米の輸入。義務でもないのに「義務だ」と言い張ってミニマム・アクセス米を輸入しているからです。

 米や野菜の暴落で、農業生産額が一九七六年以来、二十三年ぶりに十兆円台に落ち込んだというのに、救済の手を差し伸べるどころか、米に続いて牛乳や大豆、砂糖きび・てん菜も暴落させようと、解散直前の国会で、これらの農産物の価格保障制度を廃止したのが自公保政権。本当に冷酷で逆立ちした政治です。

 もう一つの逆立ちは全国農協連合会(全農)と一部の県経済連。

 “米一俵七百円”――ラーメン一杯並みの値段でエサ用に投げ売りする穴埋めに、全国の稲作農家から十アール当たり千五百円も取り上げ「これで万全、あなたの稲作」などというとんでもないパンフを全国で配っているのが、全国農協中央会(全中)と全農です。

 ところが、全農の子会社「組合貿易」が性懲りもなく外米輸入を続け、神奈川・静岡・愛知・和歌山の各経済連と東京経済連の子会社(パールライス)が外米を買い付けていることが判明しました。五月二十三日に実施された二〇〇〇年度第一回売買同時入札(SBS)でのこと(「商系アドバイス」六月五日付)。

 
2000年第1回SBS商社別落札数量
商社名
数量(トン)
三井物産
住友商事
住金物産
日商岩井
東邦物産
伊藤忠商事
三菱商事
トーメン
東食
丸紅
野村貿易
ニチメン
サンライス
カーギル
大丸興業
東工コーセン
東海澱粉
アンドレイ
キリン
豊田通商
木徳
兼松
太洋物産
金商
岩屋産業
組合貿易
大蔵アグリ
飯田商事
明和産業
太平洋貿易
東京貿易
濱田産業
3,192
2,777
2,478
2,392
2,151
1,782
1,413
1,339
1,242
1,196
1,098
954
904
864
702
684
630
554
540
420
388
342
306
264
252
234
202
180
171
162
138
108
合  計
30,059
「商経アドバイス」6月5日

 組合貿易が輸入したのは中国米二百三十四トン。「米国産から中国産に切り替え」という「大手商社のコメ輸入戦略の転換」(「日経」五月二十二日)のお先棒をかつぐものです。また、神奈川経済連が約一千トン、静岡経済連が六百五十トン買い入れたとも報じられています。

 米関税化強行以来、農協中央は自民党・政府に抱き込まれて悪政推進にウツツを抜かしていますが、米暴落に手を貸す外米の輸入・販売を相変わらず続ける――こんなやり方に未来がないことは明白です。

(新聞「農民」2000.6.26付)
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2000年6月

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