「農民」記事データベース20010226-482-07

韓日農民の交流 (2)


セーフガード要求は当然

 十二月二十一日に韓国・全国農業技術者協会の崔事務處長とともに韓国農協中央会を訪問。韓国農民の状況や、とくに韓国政府が発動したニンニク、乳製品のセーフガードについて話を聞きました。

 WTOに宛てた韓国政府のセーフガード発動に向けた調査開始の通報には「調査はニンニク業界を代表する韓国農協中央会が、情報と証拠を含めて提出した請願にもとづいて開始」とあります。グズグズと発動を遅らせる日本政府と違い、韓国政府は機動的にセーフガードを発動しています。

 韓国も輸入急増厳しい農家経営

 応対してくれた李實官・海外協力室長は「輸入急増と不況が重なり農家経営は厳しさを増している。セーフガードは積極的に活用したい。ニンニクのセーフガードは農協が直接政府に要請した」と言い、盧義鉉・農業経済代表理事は「農民や農業団体が政府に対して強い措置を要求するのは当たり前だ。日本は違うのか」と不思議そうな顔をしていました。農業団体が「農家の窮状を救う」という強い姿勢で政府に要求し、政府もこれに応えているのです。「それぐらいのことを日本の農水省、農協はすぐにできないのか」と、改めて闘志が湧いてきました。

 ソウル市街にある中央会のビルに隣接して、農協が運営するかなり充実した内容の農業博物館があります。前庭にはミニ水田があり、その中に「身土不二・農都不二」「農者天下之大夲(おおもと)」と書かれたオブジェがありました。

 二つの農業団体と有意義な交流

 二十一日の夕方、農業技術者協会の姜春成会長と崔事務處長、農民連の小林代表常任委員、真嶋事務局次長とともに韓国全農(韓国農民会総連盟)を訪ねました。

 姜会長は、協会の活動でこれまで以上に農政運動を重視することや、機関紙の有料化などの組織改革をめざしています。実際に姜会長は、昨年秋から年末にかけて韓国内で大闘争を繰り広げた農家負債の軽減を求める二十一農業団体の共闘組織の議長を務めています。

 韓国全農の事務所に着くと、WTO国際シンポジウムの際に来日した鄭光勲議長、劉相郁事務総長が迎えてくれました。韓国を代表する二つの農業団体との懇談はたいへん有意義なものでした。

 「農家負債の問題は政治的に解決しなければならない」と姜会長。「世界中にはびこっている新自由主義とたたかわなければなら

ない。WTO体制に世界がもっと反対すべき」と鄭議長。

 小林氏が「いま日本では農業の衰退にともなって農業関連産業の危機が広範に深まっている」と言うと、鄭議長は「韓国でも昔はニンニク生産者と貯蔵業者は争っていたが、今は連帯しています」と応じました。

 若いスタッフでエネルギー満々

 別れ際に、事務所のスタッフ全員と次々に握手を交わしました。韓国全農には十人以上の若いスタッフが働いています。激しい闘争をやり抜くエネルギーが満ち満ちていると感じました。
(つづく)

(二瓶康一)

(新聞「農民」2001.2.26付)
ライン

2001年2月

HOME WTO トピックス&特集 産直・畜産・加工品 農業技術研究
リンク BBS 農民連紹介 新聞「農民」 農とパソコン

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒171-0022
東京都豊島区南池袋2-23-2
池袋パークサイドビル4階
TEL (03)3590-6759

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2001, 農民運動全国連合会