「農民」記事データベース20010326-486-04

ユース・アグリ・クラブの港見学

すさまじい輸入に驚き

 「コンテナの大きさ、多さには驚いた」「こんなにたくさん輸入されたら、外国産農産物ばかりになり、消費者は国産が食べられなくなる。もっと国内で生産できるようにしないと」。巨大なクレーンが立ち並び、ものすごいスピードで野菜が荷揚げされる東京湾・青海コンテナ埠頭――大学生が中心になって活動するユース・アグリ・クラブ(YAC)は三月十二日、輸入の現場を体験しようと港見学を行い、八人が参加しました。


 最初に、青海埠頭が一望できる倉庫の屋上から、巨大な四つのバースについて説明を受けます。ここでは「中国から小型のコンテナ船が毎日接岸し、ネギなどの生鮮野菜が大量に輸入されている。夜でもライトをつけて作業している」と現場の労働者。

 案内を引き受けてくれた全税関労働組合東京支部の植松隆行さん(52)は「輸入のスピードがどんどん速くなっている。それにあわせて、税関業務も高速化され、いずれは二十四時間受付にされる可能性がある」と話します。

 続いて、オレンジなどの柑橘を扱う倉庫会社を訪れ、輸入農産物についた害虫をくん蒸する倉庫を見学。「植物検疫のため、ここではバナナで八割、柑橘で五〜六割を青酸ガスで燻蒸処理し国内に出荷している」と担当者。説明を聞いた学生は「オレンジなどの表面に農薬が塗られていることは知っていたが、輸入後さらに青酸ガスでくん蒸するとは知らなかった」と驚いた様子。案内してくれた担当者も「私は皮を食べないようにしている」と話します。

 最後に、全税関労働組合事務所に移動し、税関業務と輸入の実態について説明を受けた参加者は「輸入品は一つ一つ全部調べていると思っていた。千件の輸入申請に対し、二十件くらいしか現物を見ないという話には驚いた」と感想を語ります。

 港見学を企画した児玉拓海さん(20)は、「実際に働いている人の話を聞いて、感じていくことが大切だと思う。これから輸入農産物の危険性を、高校生や大学生に知らせる必要がある」と述べ、YAC主催で「食」をテーマにした講演会を五月二十七日、都内で行うことを、参加した学生たちと話し合いました。

(新聞「農民」2001.3.26付)
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2001年3月

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