「農民」記事データベース20010827-506-10

“育てることが楽しい”

東京・調布市/花づくり農家

秋間市郎さん・秋間喜代子さん


 「見てください。カトレヤは今年の異常な暑さで、花も大きくならず、三割ほどしか咲かなかった」――東京・調布市で神代(じんだい)洋蘭園を経営している秋間市郎さん(59歳)、喜代子さん(55歳)夫妻。住宅や団地が立ち並ぶ中で花作りに取り組む専業農家。市郎さんは東京農民連副会長、喜代子さんは女性部で活躍しています。

 花も輸入急増で栽培農家は大変です

 三十二年前からカトレヤの栽培を始めた市郎さんは「こんな異常天気は初めてだ。毎日午後三時から七時まで水をかけている。水をやると五度は下がる」と言います。温室の中は午前十時過ぎで三十度を超えています。

 秋間さん夫妻が心をこめて栽培しているカトレヤやファレノプシス(胡蝶蘭)は美しく、抱きしめたいほどです。重油などの経費が何倍にもなっているのに、一方では輸入品も急増し価格は安くなり、育てる苦労が報われません。「安くスーパーなどで売っている胡蝶蘭はタイ産。花も野菜と同じようにどんどん輸入され、花や植木栽培の農家は悲鳴を上げている」と語る秋間夫妻。

 秋間家は、四百年以上前から代々農業を続けています。「私がカトレヤの栽培を始めたが、その前は養鶏をしていた。当時は千羽で経営が成り立っていた。いまでは養鶏にしても花栽培にしても規模を拡大してやっているが、どこでも苦しい」と顔をくもらす市郎さん。

 秋間夫妻は、「ミカンを鉢植えで販売しようと、十五年前に熊本から取り寄せ試みたがダメだった」と言いながら、ミカンや金柑の木、種のないゆずの木、ナスやキュウリ、トマト、ピーマンを作っている畑を次々に案内してくれました。会社の食堂から出た残飯や落ち葉などを堆肥に活用して土作りにも力を入れています。

 「楽しいことですか。買いに来てくれるお客さんから『秋間さんの花は長持ちするし、きれいだ』と喜ばれると嬉しくなる」という喜代子さん。「花作りも毎年一年生だ」との気構えで取り組む市郎さん。「育てるのが楽しくて仕方がない」という秋間夫妻。

 市郎さんは、新聞「農民」を友人に薦め、四人が読者になってくれました。「東京で開かれる全国研究交流集会には、どちらか一人は参加したい」と笑顔の秋間夫妻は、きょうも暑さの中で花作りに精を出しています。

 *神代洋蘭園の連絡先=東京都調布市西つつじヶ丘四―三六―九、電話・ファックス0424(83)0564

(新聞「農民」2001.8.20・27付)
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2001年8月

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