「農民」記事データベース20011022-513-10

組み換え食品反対の運動から誕生した

「市民バイオテクノロジー情報室」


 遺伝子組み換え食品反対の運動のなかから、市民のためのバイオテクノロジーの情報センター「市民バイオテクノロジー情報室」(代表天笠啓祐さん)が発足しました。

 現在、バイテク産業の市場規模は、一兆二千億円(うち医薬品が四割、農産物が二割)に達しますが、政府はさらに二〇一〇年には二十五兆円にまで拡大させる方針です。

 正確な情報を

 バイテク産業の中心となる遺伝子組み換え技術は、安全性や生態系への影響などさまざまな問題を引き起こしながら、十分な検証もされないまま、商品化が先行しており、「遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン」をはじめ反対の世論が大きく広がっています。しかしバイテク産業を押し進める政府と企業は、正確な情報を公開してきませんでした。

 このような情勢のなかで、「市民バイオテクノロジー情報室」は、市民による、市民のためのNGOの情報センターとして、バイオテクノロジーに関する情報を収集し、発信していくことをめざしています。

 幅広い事業内容

 当面は、遺伝子組み換え作物を中心としながら、今後はクローン技術や家畜、魚、樹木、そして人間や人体なども視野に入れたバイオテクノロジー全般に対象を広げていく予定です。主な事業内容は、調査研究報告の紹介・分析、情報誌月刊「バイオジャーナル」の発行、市民の立場に立つ科学者のネットワークづくりなどに取り組んで行きます。

 「バイオテクノロジーは人や暮らしをどう変えるか」と題して行われた設立シンポジウムには、長年にわたって遺伝子組み換え研究の最前線にいた科学者・医学者がパネリストとして登壇(長野敬、本庄重男、福本英子、杉田史朗、天笠啓祐の各氏)。「自然や生物はとても複雑で変化の途中にあり、今の研究で安全だからといって、すべて安全というわけではない」「いまの遺伝子組み換えは欠陥技術であり、人体や生態系への影響ははかりしれない」といった意見が繰り返しのべられました。また「市場主義・利潤優先の企業が、科学を“利用”している現状のなかで、いま科学者は猛烈な開発競争に巻き込まれ、市民の幸福とは無関係に研究が進められている」など、科学者のモラルを危倶する意見も多く出されました。

(新聞「農民」2001.10.22付)
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2001年10月

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