「農民」記事データベース20011029-514-08

安全対策、所得補償など万全に

狂牛病(牛海綿状脳症=BSE)Q&A


  牛乳や肉は安全?

  世界保健機関(WHO)が分類した各部位の危険度は表の通りです。牛乳や肉(骨格筋)は感染力がないとされています。

 ちなみに豚や鶏については、十万倍の感染効果があるという、患部を直接脳に移植する実験では、鶏は感染なし、豚は十例中一例の感染がありました。豚でもエサから感染したという報告は一例もありません。

 
カテゴリー分類
該当する期間・組織
カテゴリーI 高い感染力 脳、せき髄、目
カテゴリーII 中の感染力 回腸、近位結腸、リンパ節など
カテゴリーIIIa 低い感染力 遠位結腸、下垂体など
カテゴリーIIIb 感染力がほとんどない 骨髄、肝臓、肺など
カテゴリーIV 感染力が検出できない 骨格筋、乳、初乳、血清、腎臓、卵巣、子宮、精巣、心臓など

  BSEの病原体といわれるプリオンってなに?

  正常なプリオンと、それを産み出すプリオン遺伝子は、ほ乳動物に普通にあります。BSEを伝達する異常プリオンは、正常なプリオンに働きかけて異常プリオンに変えます。正常なプリオンが多く存在するのが、危険部位といわれる脳やせき髄です。

 プリオンは、たんぱく質の一種で“遺伝子がない病原体”と言われ、プリオン病には、羊のスクレイピー、人のクロイツフェルト・ヤコブ病、鹿やミンクにもあります。プリオンの性状はまだ解明されておらず、それだけに、摂取しない、家畜に与えないための万全の対策が求められます。

  BSEはどうして広がったの?

  BSEは汚染された肉骨粉をエサとしたために感染が広がりました。動物の死体やくず肉、骨などを煮て脂肪を取ることをレンダリング、残った脂かすを肉骨粉といいます。

 八〇年代にイギリスで大発生した要因は、(1)石油ショックでレンダリングの加熱時間が短くなった、(2)子牛に肉骨粉を混ぜた代用乳を与えた、(3)スクレイピーが大量発生し肉骨粉が高濃度で汚染されていたなどの条件が重なったためと考えられています。BSEは、生産効率を求めるあまり、もたらされた病気です。

  クロイツフェルト・ヤコブ病の感染確率は?

  クロイツフェルト・ヤコブ病には、(1)自然発生的なもの、(2)遺伝的なもの、(3)硬膜移植などによるもの、(4)BSEからの感染があり、(1)は百万人に一人だといわれています。

 ヨーロッパで発見されたBSEからの感染者は、現在百二人。BSEを発症した牛の数は、確認されているもので約十八万頭、推定では百万頭といわれています。BSEからクロイツフェルト・ヤコブ病に感染した患者が最終的に何人にのぼるかという予測は、数千人から数十万人という幅があるのが現状です。

(新聞「農民」2001.10.29付)
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2001年10月

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