「農民」記事データベース20020401-533-06

声高に「手作り」「安全」宣伝するが

今年の「フーデックスジャパン」

中身は輸入・加工食品の山


目を引く中国野菜の出展攻勢

 アジア・環太平洋地域最大の国際食料・飲料展「FOODEX JAPAN 2002」が、三月十二日から四日間、千葉県幕張メッセで開かれました。毎年恒例のこの展示会、今年の副題は「作り手の心と味を伝えます」。もっともらしい宣伝文句ですが、実態は大量生産の加工食品、輸入食品のオンパレード。二万七千平方メートルの広大な会場に七十四カ国、二千三百十一社が出展し、色とりどりの商品を陳列して大売り込みをかけていました。

 今年とくに目を引いたのは、中国からの出展の多さ。去年の二倍以上に増えています。乾燥椎茸、冷凍野菜、山菜などのビニール袋詰め惣菜はいうに及ばず、ソーセージなど肉類加工品まであります。もちろん生鮮野菜を売り込む中国企業も多く、長ネギや、「これで検疫が通過できるのか?」と思われるような泥つきのゴボウ、「中国人は食べない。日本向けの生産です」という沢ワサビも陳列されていました。

 残留農薬にピリピリ…

 年々増えている中国野菜のブースですが、パンフレットも充実。カラー刷りで、栽培カレンダーまでついています。こちらがブースに近寄るなり、カタコトの日本語で「中国の野菜、安全ヨ。残留農薬の検査、バッチリヨ」と検査報告書の見本を示した企業もあり、この間の検疫強化は中国側企業をピリピリさせているようでした。

 日本への輸出の際の窓口を尋ねると「加工業者や商社」とのこと。加工食品になったり、外食産業を通って消費者の口に入る時には中国産とは分からない可能性大です。

 残留農薬にピリピリしているのは、国内の加工メーカーも同じ。日清製粉、ニッスイ、加ト吉、日本ハムなど大手企業が大面積、大音響ではなばなしく加工食品を宣伝していました。「やはり人件費が安いので生産工場は中国だが、残留農薬はしっかりチェックしており安全だ」と胸を張ったのは、冷凍枝豆から基準値以上の残留農薬が検出された(農民連食品分析センターが分析)ばかりのニッスイ。「うちは質を下げたくないので京菜など国産食材を使っている」と、ごく一部の国産の商品ばかり強調していたニチロなど、営業マンが口にするのは実態とあわない「安全」「安心」ばかりでした。

 裏を返せば「原産地・中国」

 ところがちょっと見本商品を裏返してみると、家庭向け、業者向けを問わず、原産国が「中国産」というものばかり。どのメーカーでもA4版ほどのビニール袋に詰まった冷凍の「ホウレンソウのごまあえ」や「きんぴらゴボウ」など、業者むけ惣菜(外食産業や持ち帰り弁当など)が、弁当箱や皿に盛りつけた姿とともに“おいしそう”に陳列してありました。

 また百円冷凍野菜を大々的に宣伝するユニフーズでは、原料の八五%が中国産で残りはニュージーランド(カボチャなど)、アメリカ(ポテトなど)などとのこと。

 本紙先週号でも既報のとおり、農民連食品分析センターの分析で基準値の九倍もの残留農薬が検出された中国産の冷凍野菜。輸入農産物ばかりのこれら大手食品メーカーの冷凍食品・加工食品を食べつづけるかぎり、消費者の「食の安全」は危機的状況といわなければなりません。

(新聞「農民」2002.4.1付)
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2002年4月

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