「農民」記事データベース20020408-534-08

安全でおいしい

地元の野菜を学校給食にもっと

全国食健連が交流会

 「地元の野菜を学校給食へ」「ほんものの食材で子供たちの“食歴”を育てよう」――全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)のよびかけで「学校給食の充実をめざす交流会」が、三月二十三日、東京で開かれ全国各地から百人近くが参加。熱意あふれる討論で盛り上がりました。


 通学路の畑の「トウガンが…」

 埼玉県草加市の調理員菅千代子さんは、地元の農産物を活用した自校直営方式の給食づくりを報告。「生徒の家の枝豆が給食に登場、“○○君ちの枝豆”として大好評を博している」「通学路の途中の畑でとれたトウガンを給食の味噌汁にしたところ“畑のおばちゃん”が『給食の野菜の畑です』と看板をたてた」「学校の畑で子どもたちがトウガンを作って給食で食べ、大喜びした」――などのエピソードを交えて、子どもたちとのコミュニケーションが生まれたと報告しました。

 また地域の商店から食材を仕入れることで、草加市全体の給食費年間九億円のうち三億円が市内に還元されていることを紹介し、「地域経済を守るためにも、地元の商店を通して地元の食材を仕入れる仕組みの整備が重要」とよびかけました。

 「最近増えている注文は“アオムシつきのキャベツ”。校舎の窓からモンシロチョウになって飛び立っていったと子どもたちから手紙をもらいました」と発言したのは、千葉県多古町旬の味産直センターの小林由起夫さん。同センターは品川区など百校以上に野菜を供給。「学校給食は単なる売り先ではなく、食と農の学習の場。産地・農家としてできることをやっていきたい」と交流に力を入れています。生ゴミコンポストを回収・活用したり、体験農業を受け入れたりと農家にとって負担も大きい交流事業ですが、子どもたちからの作文が届くと「農家もがんばるぞ、という気持ちになります」と発言しました。

 農地のない東京都目黒区の栄養士で全教栄養職員部会副部長の阿部五百子さんは「学校給食でもセンター化や民間委託が進んでいる。安全な食材を使うには、調理員さんとの信頼関係が絶対必要。どれだけ安全、安心なものを食べさせられるか、今が正念場」と問題提起。

 会場からも率直な意見が続出。「練馬の学校給食に米を中心に産直しているが、教育委員会を通じた地元米屋からの圧力でピンチに立っている。だがこの集会を聞いて、地域の米屋とも協力していく大切さを痛感した」(北海道空知産直センター)。「流通業者を排除していくのではなく、農家も流通関係者も商店も、栄養士や調理員も学校給食に関わる者すべてが輪になって取り組むことで、ほんとうの意味で豊かな学校給食になるのではないか」(城南食糧)。「民間委託やセンター化が進めば、日本の農産物も地元の食材を使うこともできなくなる。千葉も県産小麦三〇%のパンが給食で実現した。運動していけば変えていける」(『いのちをはぐくむ学校給食全国研究会』代表雨宮正子さん)。

 最後に食健連事務局長の坂口正明さんが「学校給食を守っていくためにも、あらためて家族経営農業を守って子どもたちの食を豊かにしていこう」とよびかけました。

(新聞「農民」2002.4.8付)
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2002年4月

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