「農民」記事データベース20020408-534-10

旬の味


 豪雪地帯の秋田県南地方にもやっと春が訪れた。五カ月、雪との格闘だった。人の背丈ほどの雪の塊が小さくなる▼この地方は、四季それぞれ美しい表情を見せるが、四月上旬の「清明」(二十四節気)の頃の変化は最も感動する。春雷の雨が残雪を一夜にして溶かし、またたく間に黒い大地が姿を現す。まさに自然のドラマだ。半年ぶりにかぐ土の香りが妙に体をうずうずさせる。田畑を耕し物を作る農民の習性からだろう▼それにしても各地の桜が半月も早く咲いたことが気になる。四十年も米作りを続けているが初めてである。異常気象をもたらす「エルニーニョ現象」の年と気象庁は言う。心しておきたいことだ▼米作りの出発点、良い種子籾を選ぶ「塩水選」の作業にも思わず力が入る。念には念を入れろだ。思い出したくもないが九三年のあの大冷害、米を求める行列の人々、大量の外米輸入の米騒動。災害は忘れた頃にやってくる。備えあれば憂いなし。かみしめたい言葉だ。米を作る農民と安全でおいしい国産米を望む国民共通の願でもある。

(長)

(新聞「農民」2002.4.8付)
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2002年4月

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