「農民」記事データベース20020930-556-01

パワフル夢いっぱいの母ちゃんたち

 農業つぶしの悪政に、「どっこい負けてなるものか」と、がんばっている農村女性が全国各地にいます。そんな「イキイキ母ちゃん」の便りが、九州から二つ届きました。


鹿児島

南さつま農民組合直売所を開設

女性が主役みんなで協力

 南国鹿児島の、さらにその南端にある枕崎市は平均気温二十度。一年中緑に包まれた食糧生産基地です。ここに南さつま農民組合が直売所『薩摩路』を開設し、消費者にも生産者にも大好評。運営は女性部が中心です。

 地域から称賛の声

 総会で開設を決めたのが六月。それから重機で山林を造成したり、建材を集めたり、組合員みんなの手弁当、奉仕精神で、国道沿いに建設しました。それを見ていた地域の人も「良か。キバイ(がんばれの意)」と称賛してくれました。

 八月十日の開店日はたいへんな大にぎわいで、収穫したて(七月末に収穫)の新米のオニギリに始まり、オクラやゴーヤ、葉物野菜などおよそ十八万円の売り上げになりました。その後は台風で青物が減りましたが、早生の露地ミカンが「甘い」「また食べたい」と好評を得ています。十月にはお餅も売る予定です。

 通勤客も観光客も

 売るものは、近所の組合員や生産者が家にあるものを持ち寄るほか、県内の組合員の黒米(好評で品切れ)や小麦粉なども。「日本の食糧は日本の大地から」の大看板の効果もあって、近所の工業団地への通勤客や観光客が「ここは安心して買える」「おいしい」と、何度も訪れています。

 「この野菜はどうやって食べるの?」と会話になったり、切り花や曲がったキュウリも人気で、目の前で作ったものが売れていくのは「うれしくってやみつきになる」と皆やる気が湧いて、欲も出てきました。生産者は高齢者が多いのですが、「今からどんな野菜を植えようかな」と言う人もいます。直売所に物を持っていくと皆が集まっていて、一〜二時間はおしゃべりになり、「寄る所ができた」と、皆で楽しく協力してやっています。

 作れば売れること実感

 組合員でない生産者も「私も出せますか」とナスを持ってきたり、店頭のボカシ肥料を見て営農相談もあります。売り上げを会議で報告すると、うれしい歓声が湧き起こり「作れば売れる」ことを実感しています。

 直売所を管理しながら農作業にも取り組む代表者の松山文子さんは「夢はいっぱいあります。組合員でない人に加盟や新聞講読を呼びかけたり、栽培ごよみをつけることなどもこれから話し合っていきたいと思います」と話しています。

(南さつま農民組合 下屋一美)


熊 本

県女性部誕生

仲間を増やしながら一緒に育ちあう

 「自分を高めるためにも、私には農民連女性部が必要」「仲間を増やしながら、一緒に育ちあう会にしよう」――。こんな農村のお母ちゃんたちの弾むような声で、熊本県農民連女性部は産声をあげました。九州では、初めての県連女性部です。八月二十四日の結成総会には、県内各地から十七人が参加し、全国連常任委員の村尻勝信さんもかけつけてくれました。

 とにかく明るい

 集まった農村の女性たちは、とにかく明るく、みんな元気。「農家の母ちゃんたちは、頭で考えるだけでなく、がんばって働いている体全体からわき出る言葉に説得力があるのよ」と、部長の紺屋本(こやもと)裕美子さん(44)は言います。八代市でメロン、トマトなどを作っている紺屋本さんは、自分の気持ちを飾らずに語ります。

 熊本県農民連女性部の結成の話し合いが始まったのは今年六月。それが一気に加速したのは、福岡で開かれた日本母親大会への参加でした。熊本からは九人で参加して、全体会では思いがけず中央舞台にも立ち、全国の仲間から元気をもらいました。「今年から夫の手伝いでなく、自分で主体的に農業にとりくむことになったが、その自信が持てた」「よかった。元気が出た。これからも若い女性たちと一緒に、いろんなことに参加したい」など、総会でも母親大会のことが話題になります。

 女性部が当面、めざすことは、税金の学習会を開くことと、県内各地に足を運んで、仲間を増やしながら一緒に育ちあう会にすること。総会後にさっそく、大矢野有機農産物供給センターの女性部をたずねて、お互いの思いを伝え合い、県連女性部にみんなで入会してもらいました。

 はりきってます

 紺屋本さんは、「農村の女性はどこでも、農作業のかたわら子育てや家庭のことでがんばっているけど、地域によって少しずつ違いがあるのね。そんなことを交流しながら、パワフルですてきな女性たちをみんなに紹介したいわ」と、はりきっています。

(熊本県農民連女性部 野口絹代)

(新聞「農民」2002.9.30付)
ライン

2002年9月

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