「農民」記事データベース20021007-557-03

固定資産税――来年は評価替えの年

気楽に、誰でも取り組めます

村田 深

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固定資産税――来年は評価替えの年
小泉内閣がねらう 庶民大増税 ■中■
小泉内閣がねらう 庶民大増税 ■下■


 固定資産税に取り組んだ人たちが口をそろえて言うことは、「おもしろい」です。私はパズルを解くような楽しさを感じながら取り組みました。

 固定資産税というと、「分からない」「難しそう」「とっつきにくい」という印象があるようです。しかし、固定資産税は所得税よりもずっと気楽に取り組める分野だということを知ってほしいのです。

 所得税は申告納税ですので、自分で計算しないと始まりません。一方、固定資産税は賦課課税といって役所が計算して課税していますから、私たちの運動は役場に質問することだけです。予備知識がまったくなくてもできます。必要なのは農民としての素直な感覚です。「農業を営むための土地は、農地として評価してほしい」という素朴な感覚です。これに勝る正論はありません。農民の実感として「高すぎる」と感じる評価は、どこかに間違いがあるはずです。それを役所に聞いて、解き明かすのが固定資産税の運動です。

 ややこしさこそ宝の山

 固定資産税は、地域に無数にある資産をごく限られた人数で評価するので、実に間違いが多い税目です。しかも計算が込み入っているのでなおさらです。聞けば聞くほど「よくそんなことまで考えるものだ」と関心するほど、ややこしい計算をしています。しかし、そのややこしさこそが宝の山なのです。

 私が取り組んだ牛舎用地の評価についても、質問してみて分かったのは、農業のための土地であるのに、農地としての評価以外に造成費なるものがたしてあり、しかもその造成費のなかにその土地にはない擁壁費なるものまでたしてあることでした。

 私たちの主張は簡単です。「ないものをあるように評価するのは納得できない。納得できるまで何年かかってもあきらめません」という主張です。これが決め手になって、擁壁費の分だけは下げさせることができました。

 全国のほとんどの市町村で、農業用施設用地の評価には、擁壁費を含む造成費をたしているようです。そのために評価額が何十倍にもなっています。これはまったく理屈の通らない不当なことなので、全国的に取り組むべき課題だと思います。

 おかしいと感じたら聞くこと

 来年は、三年に一度の基準年度の評価替えの年です。五月に課税明細が届きます。三年前と見比べて、おかしいと感じることがあれば役場に聞きましょう。そして、納得できない場合は、課税明細が届いてから三十日以内に、市町村の固定資産評価審査委員会に審査の申出をします。審査申出は救済制度ですから、評価が下がることはあっても上がることはありません。手続きの仕方も役場が教えてくれます。また、大阪府連の山口和男さんに電話をすれば適切なアドバイスをしてくれます。あとは正論を堂々と主張すればいいだけですから、実に気楽に取り組めます。

 役所は、主権者である納税者に対して説明する義務があります。それを制度として保障しているのが「照会制度」です。文書で質問したら、文書で答えなければならないというものです。これを使えば次々に資料が出てきます。これが宝の地図です。来年は、ぜひみんなで宝の山を巡る迷路を楽しみましょう。

(茨城・県南農民組合)

(新聞「農民」2002.10.7付)
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2002年10月

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