「農民」記事データベース20021014-558-01

農民連関東ブロック

産直ひろばオープン

東京・足立区 ガーデンメッセに六十坪


「新鮮な野菜楽しみ」「安全なのがいい」

食と農、地域を守る新たな運動スタート

 農民連関東ブロック協議会を中心に全国ネットの力を生かした産直ひろば(直売所)が十月一日にオープンしました。東京・足立区の京成千住大橋駅前の「ガーデンメッセ千住店」に六十坪規模の常設の直売所が誕生。新鮮、安心、おいしい野菜や果物、加工品、さらに玄米を店頭で精米して販売しています。毎日午前十時から午後八時まで開店しています。

 この取り組みは、農業つぶし、価格破壊が進み、ニセモノ、農薬まみれの農畜産物が横行するなかで、安全な国産の食料を求める消費者の要望にこたえ、地域の振興も念頭に労働者、業者、その他の団体とも共同し、食と農と地域を守る新たな運動に発展させようというもの。その第一歩がスタートしました。

 入り口に「産直」の大看板

 入口には、「農民連産直ひろば 農家のお店だから安心・新鮮・おいしい」の大きな看板。

 果物、葉物、根物、加工品、米を陳列するコーナーが設けられ、品物がきれいに並べられています。外のテントでは、おいしい香りをただよわせている焼き芋や米のポン菓子の実演コーナーも。

 看板にひきつけられるように、産直ひろばに来たお客さんがミカン、リンゴ、ダイコン、キュウリ、レタス、ニラなど野菜や果物を買い物カゴに入れていきます。

 四十歳代の主婦は「新聞折り込みを見て来ました。千住大橋駅を毎日利用しているけど、こういうお店が近くにできたので助かる」といい、隣の荒川区から来た五十歳代の主婦は「地域には五つのスーパーがしのぎを削り、特売日には行列ができる。それと比べると、割高のような気がするけど、新鮮さはこっちの方が断然上ね」と語ります。「オープンを楽しみにしていたので、台風にもかかわらず来ちゃった。新鮮な野菜が届くの。そー、楽しみね」と、小さい子どもを連れた若いお母さん。

 また、地元町会の役員をしている夫婦からは「新鮮な野菜はいいんだけれど、それに合わせる肉や魚はどうすんの。週に一度でも魚を置くべきよ」という要望も聞かれました。

 オープン初日は、台風21号が関東地方を直撃。時折り、バケツをひっくり返したような豪雨と強風が吹き荒れるなか、ずぶ濡れになりながらも次々に訪れるお客さん。来店者は千五百人を超え、当初の予想を大幅に上回る賑わいでした。「新鮮で安全な農産物を求める消費者がたくさんいることを物語るものではないか」と、店の幹部の人たちは話しています。オープン後も連日のように、お客さんが訪れています。

 “花と野菜”で相乗効果

 ガーデンメッセ千住店は千八百坪の売り場面積に花や園芸資材、用土・肥料、ペットなどを販売しています。店長の吉田弘治さんは埼玉県深谷市の農家の出身。「どうして野菜売り場を併設するようにしたのですか?」との質問に対して、「野菜と組むことで相乗効果が発揮できればと思ったのです。“道の駅”などの農産物直売を見て、おもしろいなと感じていました。花も野菜も鮮度が一番大事だということでは共通しているからです」と理由を説明します。

 さらに「千住店は、八王子、世田谷についで三店目。来年二月には、千住店の売り場面積を広げる計画で、それまでに地域で要望されているものを調査し、野菜売り場の拡大や肉や魚を扱うことも考えていきたい」とこれからの抱負を語ります。

 また、ガーデンメッセに花などを納入している会社の役員も「食料自給率が五〇%を切っているのに、大きな国から圧力がかかれば、ハイといってしまう日本。そうやって輸入されてくる食べ物、たとえばアメリカ産小麦は、防腐剤がたっぷりとかけられている。子どものアレルギーが増えているのも、こうしたことが原因だと思う。そうではないものを買える店が必要です」と、きっぱりといいます。

 “一カ月”苦戦ながらも

 ガーデンメッセに出店するきっかけは、メッセの関係者が農民連生産・流通対策部の小竹節さんに話をもちかけてきたことです。農民連の関東ブロック協議会や全国にも呼びかけられて、何回も議論を重ねた結果、「やるかやらぬか、迷ったときには、とりあえずやってみよう」という方針を確認。関東ブロック協議会・関東産直ネットワークが中心になり、開店の一カ月前から準備を開始し、現地でも数回集まり検討してきました。

 開店当日は午前四時過ぎまで、ダイコン、ミカン、キャベツなどにバーコードを貼る作業を行い、開店を迎えるという苦労もありました。

 開店日にかけつけてきた長野県農民連会長の山下始胤さんは「半日、売り子になってみて、消費者に買ってもらえる売り方、店の作り方などのノウハウを蓄積する必要性を感じた。東京の消費者と直接、接して得たことを産地でも努力していきたい」と話しています。

 関東ブロック協議会・ネット代表の海老原恒夫さんは「この一カ月間、仲間と一緒に悩みながらも行きつ戻りつを繰り返しながら、発想が広がってきた。展望もやっとみえてきたなかで、スタートできた」と、思いをかみしめるようにいい、「農家の自立・自覚を育て、激増する輸入農産物に対抗する自主的な運動として、この直売所を位置付け取り組んでいきたい」と並々ならぬ決意を語っていました。

 ガーデンメッセ千住店の所在地=東京都足立区緑町一-一-一、電話03(5813)9611

(新聞「農民」2002.10.14付)
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2002年10月

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