「農民」記事データベース20021021-559-06

輸入小麦

安全基準ない農薬(クロルピリホスメチル)なのに

続々上陸して食卓に!

 いま輸入小麦の安全性が心配されています。食糧庁が穀物検査協会に依頼して実施している残留農薬の検査をみてみましょう(表)。二〇〇〇年度に輸入したアメリカ産の小麦は、検査した百五十二件すべての検体からクロルピリホスメチルやマラチオンが検出されています。


 

輸入小麦の残留農薬
 
アメリカ
カナダ
輸入年度
農薬名
種類
検査件数
検出数
検出範囲
(ppm)
検査件数
検出数
検出範囲
(ppm)
1998年度 クロルピリホスメチル 殺虫剤
161
158
0.01〜1.15
74
1
0.05
マラチオン 殺虫剤
161
158
0.01〜2.75
74
71
0.01〜0.54
1999年度 クロルピリホスメチル 殺虫剤
118
105
0.01〜0.90
59
3
0.03〜0.89
マラチオン 殺虫剤
118
108
0.01〜0.58
59
51
0.01〜0.73
2000年度 クロルピリホスメチル 殺虫剤
152
152
0.01〜1.37
79
0
 
マラチオン 殺虫剤
152
152
0.01〜1.78
79
78
0.01〜0.26
2001年度 クロルピリホスメチル 殺虫剤
145
139
0.01〜1.17
78
1
0.66
マラチオン 殺虫剤
145
139
0.01〜1.5
78
68
0.01〜0.22

けいれん、頭痛、視力…

 クロルピリホスメチルもマラチオンも、有機リン系の殺虫剤です。人体への中毒症状としては倦怠感、頭痛、視力減衰、腹痛、けいれんなどがあります。

 マラチオンは、環境ホルモンとしての作用もあります。環境ホルモンはナノ(十億分の一)、ピコ(一兆分の一)単位でも、影響が出るとされています。微量だからといって安心できるものではありません。

 マラチオンは、農薬取締法にもとづく農薬登録保留基準では〇・五ppmだったのが、食品衛生法改悪で残留基準を八ppmと十六倍にゆるめられてしまいます。クロルピリホスメチルに至っては、いまだに国内の残留基準さえありません。にもかかわらず、食糧庁が公表している検査結果では、基準値を一〇ppmと記しています。おかしな話です。

 農民連食品分析センターの石黒昌孝所長は、「アメリカの主張にしたがって、輸入量が多い農産物は軒並み基準がゆるめられている。クロルピリホスメチルなど、安全基準がないものは輸入禁止にすべきです」といいます。

(新聞「農民」2002.10.21付)
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2002年10月

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