「農民」記事データベース20030310-577-01

ほとんどが輸入

竹製割箸(わりばし)に有毒漂白剤残留

農民連食品分析センターが分析

関連/奈良県吉野の里を訪ねて


 「竹製割箸(わりばし)に有毒漂白剤が残留!」――農民連食品分析センターが、昨年十一月から今年二月にかけて竹箸を分析したところ、ほとんどのものから二酸化硫黄を検出しました。

 分析したのは、市販のものなど三十一膳の竹箸と竹串一本、木製箸三膳。そのうち竹箸二十九膳と竹串から二酸化硫黄が検出されました〈表1〉。

〈表1〉割箸等の二酸化硫黄濃度の分析結果
農民連食品分析センター(mg/膳)

1 竹割り箸     0.02
2 竹割り箸     0.54
3 竹割り箸     0.95
4 天削竹箸     0.08
5 竹割り箸     0.02
6 竹割り箸     1.29
7 天削竹箸     0.36
8 竹割り箸     0.31
9 元禄箸      0.01
10 竹割り箸     0.76
11 天削箸      0.63
12 竹製おてもと   0.04
13 竹菜箸      0.06
14 竹割り箸     0.03
15 竹利休箸     0.03
16 竹元禄      0.03
17 竹天削割箸    0.08
18 竹割り箸     0.12

19 竹元禄      0.24
20 竹割り箸     0.29
21 竹割り箸     1.31
22 竹割り箸     0.91
23 竹割り箸     0.44
24 竹割り箸     4.54
25 竹割り箸     0.56
26 竹割り箸       0
27 竹割り箸       0
28 竹割り箸     4.56
29 竹割り箸     0.47
30 竹割り箸     2.88
31 竹割り箸     0.74
32 竹製魚串     0.26
 
33 木製箸        0
34 木製箸        0
35 利休木箸       0

 検出率はなんと九三・五%

 竹箸の検出率は、なんと九三・五%! 最高は一膳当たり四・五六ミリグラム。市販の竹箸の約半数は中国製で、その他は製造国の記載がありません。一方、木製の箸からは検出されませんでした。

 二酸化硫黄は、亜硫酸ガスでくん蒸したり、亜硫酸ソーダに浸して漂白したために残留していたと考えられます。亜硫酸ガスを吸い込めば呼吸器系に障害を引き起こすし、亜硫酸ソーダも誤飲すれば胃腸炎を起こします。

 箸は、食品ではありませんが必ず口に入るもの。それなのになぜ、当たり前のように危険な物質が残留しているのか!

 割箸も中国で開発輸入

 その答えは、竹箸を含む割箸のほとんどが輸入品だからです。外食や中食が増えるなかで、割箸の使用は増加し、いま年間で二百四十億膳、国民一人当たり二百膳の割箸が使われています。

 その九七%は輸入。国産はたった三%しかありません! そのうち、竹箸は七十万膳といわれており、外食店などでの使用が増えているのが特徴です。

 割箸の輸入元は圧倒的に中国〈表2〉。日本の商社などが現地の安い労働力を使って開発輸入しています。さらに中国など開発途上国からの輸入は、一定の数量まで低関税(無税)になる仕組み。そのため輸入の解禁日(中国の場合、今年は五月十六日)に輸入が殺到し、大部分は倉庫で保管されることになります。

 
〈表2〉割箸の国内生産量と輸入量
単位:百万膳
 
1992年
1995年
1998年
2001年
比率%
国内生産量
6,540
2,465
1,475
790
3.2
  国産材
4,330
2,180
1,280
665
2.7
外材
2,210
285
195
125
0.5
輸入量
17,980
22,510
23,030
24,030
96.8
  中国
12,225
20,500
22,225
23,630
95.2
東南アジア
3,475
1,825
675
305
1.2
チリ
310
80
100
12
 
その他
1,970
21
6
35
0.1
合計
24,520
24,975
24,505
24,820
100

 しかし、竹箸はとくにカビが生えたり、褐色になりやすく、それを防ぐために薬品処理が行われるというわけです。

 防カビ剤は、今回の分析では検出されませんでしたが、東京都衛生試験所が九四年に行った分析では、オルソフェニルフェノール(OPP)を検出。このOPPは、同じ防カビ剤のチアベンダゾール(TBZ)やジフェニール(DP)と併用すると発ガン性があることが指摘されています。また、『サンデー毎日』(二〇〇二年十一月二十四日号)には「竹割箸に有毒防カビ剤が使われている」との内部告発記事が載りました。

 厚労省もやっと監視強化へ

 こうしたことから、長い間、“基準がないから検査しない”といってきた厚生労働省も、割箸に防カビ剤や漂白剤が使われている事実を認めて、調査を開始。厚労省の分析でも三十二件のうち七件から二酸化硫黄を検出し、今年一月二十一日になってやっと基準を決め〈表3〉、監視強化に乗り出しました。

 

〈表3〉厚労省が決めた割箸等の安全基準

(一膳あたりの溶出量)
オルトフェニルフェノール           6.7mg
チアベンダゾール               1.7mg
ジフェニル                  0.8mg
イマザリル                  0.5mg
二酸化硫黄又は亜硫酸塩(二酸化硫黄として)   12mg

 しかし、この基準にも疑問の声があがっています。例えば、食品衛生法が定める「その他食品」の二酸化硫黄の残留基準は一キログラム当たり〇・〇三グラム。これを割箸一膳の重さ(約七・五グラム)に換算すると〇・二二五ミリグラム。これに対して、今回決めた基準は十二ミリグラムです。

 また、水際での検査を始めたといっても、検疫所での検査実態は五%のモニタリング検査。これでは、判明したときにはすでに口をつけてしまっているということになりかねません。

 冷凍ホウレン草に続いて、世論で行政を動かし、国民の健康を守る、しっかりとした手立てをとらせることが求められます。

(新聞「農民」2003.3.10付)
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2003年3月

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