最悪の米つぶし・食糧法改悪に抗議し、食糧
自給率向上の国民総ぐるみの運動を呼びかける
二〇〇三年六月二十七日 農民運動全国連合会
一、六月二十七日、参議院で「食糧法改悪案」が与党の賛成で成立した。「食糧法改悪案」は「米政策改革大綱」を実施するためのもので、米に対する政府の責任を放棄し、生産者にさらなる低米価と減反を押しつけて米生産を縮小させ、主食の米を完全に輸入自由化するものである。また、米流通の規制を撤廃し、中小の卸や小売を米流通から締め出し、価格操作や買い占め、売り惜しみなど、大企業の米流通支配を野放しにするもので、まさに最悪の農業つぶしである。
農民連は、日本農業と国民生活に重大な影響をもたらす法案の内容を農民に知らせず、国民的議論もないまま強行した自民党、公明党、保守新党に強く抗議するものである。
二、農水省は国会質疑で「米改革」の具体的な内容について、まともに答弁できなかった。また「食糧法改悪」の枠組みを作った「生産調整研究会」の生源寺座長(東大教授)は、衆議院農水委員会の参考人質疑で、「米改革」の要である四十万経営体への集積について「できない」と断言した。参議院の参考人質疑では、四人の参考人のうち三人が「米改革」が日本農業や国民生活にもたらす重大な影響を指摘し、強く反対する意見を述べた
「食糧法改悪案」の強行にあたって付帯決議を採択したが、これも「米改革」がいかに矛盾に満ちたものであるかを示している。
このように「米改革」の破綻が必至であるにもかかわらず食糧法の改悪を強行したことは、政府・与党が日本農業と稲作を発展させる展望も、国民の食糧に責任をもつ能力も失い、深刻なゆきづまりに直面していることを示している。
三、改悪食糧法は、成立したが「米改革」の枠組みを作ったにすぎず、産地作り推進交付金や米価下落影響緩和対策、「担い手経営安定対策」など、肝心の予算措置や具体化はこれからである。また、多数の農民を生産から締め出す「集落ビジョン」作りもほとんど手がついていない。まさにたたかいはこれからが正念場である。
四、「米改革」は、圧倒的多数の農民や、安全・安心・国内産の米を願う国民と矛盾を深めることにならざるをえない。
農民連は、農民を米作りから締めだす攻撃と断固としてたたかうとともに、国民や大企業の流通支配に苦しんでいる中小の流通業者などと手を結び、農民が米を作り続けることを強くよびかけるものである。
また「米改革」は、米だけでなく日本農業全体に向けられたものであり、食糧自給率の低下に拍車をかけることは避けられない。いまこそあらゆる農産物の生産拡大を軸に、食糧自給率を向上させるための国民総ぐるみの運動を地域から巻き起こすことよびかけるものである。そして、これを支援する農政の実現めざし全力で奮闘することを決意するものである。
(新聞「農民」2003.7.7付)
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