「農民」記事データベース20030721-595-06

第23回全国農協大会

協議案の問題点(3)

「選択と集中」


経済事業部門収支の改善めざし「外部化」

 経済事業改革の二つの前提条件

 前回大会からの信用事業の自主ルールづくりに続き、今大会では、経済事業の自主ルールづくりとして「経済事業改革の指針」が示されようとしています。

 この経済事業改革の前提条件として、大会協議案は次の二点をあげています。

 第一は、農協が環境変化のなかで競争力を低下させており、それが農協離れや農協批判の一因となっていること。そのため、農業者・消費者に最大のメリット・満足を提供できるように改革することが必要だとしています。

 第二は、金融部門の環境変化で従来のような信用・共済部門への依存が困難となっていること。そのために経済事業部門の収支改善が必要で、これができないと総合事業体としての農協の機能発揮が困難になると述べています。

 こうした点を前提として議案は、経済事業改革の基本方向に、「選択と集中」と、そのための「戦略的提携と外部化」を位置づけています。

 営農指導にも目標管理を導入

 この「選択と集中」は営農指導にも貫かれ、業務内容を「充実すべき」ものと「合理化すべき」ものに区分、日常的に目標管理を導入するほか、費用負担を年度当初から予算化して各部門に賦課することが提起されています(全農では、営農指導でも指導内容に応じた手数料徴収が検討されています)。生産部会の運営業務を部会に委託する提案も行われています。

 拠点施設運営を 「外部化」分社化

 経済事業を二つに分けて、一方の営農・販売・生産資材購買は一体化して、事業利益段階での収支均衡を目標とし、他方の生活その他事業については、純損益段階での収支均衡というより厳しい目標を設定し、事業利益での赤字部門は廃止する方向が示されています。

 生活購買店舗(Aコープ)や石油スタンド(SS)、LP、農機・自動車センター、物流施設など拠点施設事業は、「選択と集中」および「事業の外部化(会社化や業務委託)」を集中的に進める対象とされています。

 3年間で10%の要員削減計画

 経済事業の部門収支を改善するために、今後三年間で要員の一〇%を削減することも提案されています。削減目標は、単協で三千五百人、全農で三千人となっています。

 「もうかる仕事しかやらない」宣言

 農協の経済事業は、農家の経営収支と直結する重要な部門です。農産物価格低迷などで不採算部門となっていますが、その背景・原因を組合員とともに改善する

努力が求められています。

 しかし今回の議案は、米が売れなくなったら「米づくり廃止」に進む「売れる米づくり」方針や、「担い手明確化」による組合員の多数派の排除とならんで、経済事業改革案では、農協がもうからない仕事を別会社にしたり切り捨て、もうかる仕事だけしかやらないことを宣言しているといえます。

(つづく)
(農民連参与 山本 博史)

(新聞「農民」2003.7.21付)
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2003年7月

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