「農民」記事データベース20030728-596-02

ドジョウ、サギ、ツバメ、カモ

生態系守る米作り 技術アップへ知恵を

環境創造型稲作技術研修会 石川・小松


 「北陸ネット」設立

 環境創造型稲作技術研修会が七月十三、十四日、石川県小松市で開かれました。有機無農薬の米づくりの技術交流を目的に民間稲作研究所(稲葉光國代表)などが主催したもの。田んぼの視察や講演を行い、「環境創造型稲作技術研究会北陸ネットワーク」を設立しました。

 “環境創造型稲作”という呼び名は、田んぼの生態系を維持した米づくり技術をみんなで発展させようという思いから。稲葉氏は、雑草の特性や、深水管理、クズ大豆・米ヌカなどを使った抑草技術を説明し、「それぞれの田んぼに合う方法を探そう」と訴え。続いて料理人の船越康弘氏が講演し「日本人のアイデンティティであるお米を、胸を張って作ってほしい」とエールを送りました。

 二百七十人が参加して大盛況の研修会。村山日南子さんは、兵庫・西宮市で四百人の会員がいる「お米の勉強会」の活動をしています。「アイガモ米は知っていても、現場をわかっている消費者は少ない」という村山さんは、現場をもっと知らせたいと参加しました。

 同日設立した「北陸ネットワーク」の代表には、富山・鯖江市の藤本肇さん(56)を選出。三十ヘクタールで有機米を作る藤本さんは「栽培技術を交流してレベルアップをはかりながら、環境創造型稲作が地域の財産になるように消費者と一緒に運動していきたい」と抱負を語りました。

 有機無農薬の田んぼを視察

 研修会の二日目は、有機無農薬の田んぼを視察しながら技術交流。「この年になって初めてドジョウの稚魚を見たよ」と、農民連会員の牧田孝允さん。そのドジョウを食べに、サギが二十〜三十羽も毎朝来るといいます。

 除草剤を使わずに、クズ大豆と米ぬかペレットで抑草したお米は昨年、準産直米で出荷し、東京の米屋さんに大好評。「コナギに負けんと、まあまあうまくいっている」と牧田さん。「何俵採れそうか?」との質問に「八俵が目標」と答えました。

 サギやツバメが舞う東浩一さん(農民連会員)の田んぼは、冬の間も湛水し、ラムサール条約に登録された片野鴨池に飛来するカモのエサ場になります。抑草資材は、田植機の側条施肥機を改良して、十アール当たり五十〜七十キロまくクズ米。「なんで効くのかわからんけど見てのとおりコナギは生えない」と東さん。ぼかし肥料を元肥に使った、がっしりした稲に感嘆の声があがりました。

 松任市の若林平慈さんは、県庁に勤めながら無農薬の米づくり。大型機械でいっせいに農薬を散布する集落の中で、なかなか理解を得られませんでした。しかし減農薬で栽培する仲間を増やして壁を乗り越えた若林さん。「一足飛びに無農薬にするのは難しいが、減農薬なら割に容易。集落で対立するのではなく、仲間を増やすことが決め手」と語りました。

(新聞「農民」2003.7.28付)
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2003年7月

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