「農民」記事データベース20030728-596-06

カナダからの警告

遺伝子組み換え作物が日本で作付されたら…(中)

シュマイザーさんの講演


 すべての権利を奪うモンサントの契約書

 シュマイザーさんは「さらに重要な問題は、農民がGM作物を導入する際にモンサントと交わす契約書であり、農民のすべての権利が奪われる」と指摘します。その内容とは――

 (1)自分で種子を採って、使ってはいけない。毎年、モンサントから種子と農薬を買わなければならない。(2)GMを作付けするには、毎年、一ヘクタールあたり四十カナダドルのライセンスを支払う。(3)もしも契約に違反したらモンサントが制裁を加える。このことを隣人や報道関係者に公表してはならない。(4)契約書にサインすれば、三年間はモンサント・ポリス(独自の警察組織)が畑や倉庫に立ち入り調査するのを認めなければならない。

 こうして農民は、自分の種子を守り、それを植える権利や表現の自由を奪われ、経営や生活までモンサント・ポリスに監視されるのです。

 モンサント・ポリスと 「恐怖の文化」

 モンサントは、アメリカとカナダに独自で巨大な警察組織を持っています。カナダでは元農民や元警官を雇い、アメリカではピンカラトン社という探偵事務所や元ペンタゴン職員らがモンサント・ポリスの役割を果たしていると言います。

 どうしてモンサントはこのような警察組織を持っているのか――。それは農民が契約書を守っているか確認し、契約者の周辺の農家でモンサントの種子を無断で使っている農家はいないか、監視させるためです。

 情報提供者には皮のジャンパーをやるといった密告すら推奨しています。シュマイザーさんの場合も「密告したのは、農民で元警官であることが法廷で明らかにされました」。

 密告があれば、モンサント・ポリスがただちに農場に乗り込んで調査し、こんな脅迫状を送りつけてきます。「あなたの畑では、モンサントの特許権を侵害したGMカノーラが、○○エーカーの圃場で栽培されたことを確信するに足る証拠を得た。○日までに○○ドルを支払わなければ、法的手段に訴える」。モンサントは、こうした脅迫状を、何千という農家に送りつけ、わかっているだけでも五百五十件の訴訟を起こしているそうです。

 シュマイザーさんは「モンサントのもくろみは、農民同士を密告させ、疑心暗鬼に陥らせ、これまで協力し合ってきた農村社会を崩壊させる。そして巨大な多国籍企業には農民はとても太刀打ちできないというあきらめと恐怖心を植え付け、モンサントの食料支配を維持しようという『恐怖の文化』を作り出している」と分析しています。

(つづく)
(塚平 広志)

(新聞「農民」2003.7.28付)
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2003年7月

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