「農民」記事データベース20040105-617-05

日本の農民と大いに交流したい

メキシコでは「農業はもう我慢できない連合」作って
主食(トウモロコシ)守る運動やってます(2/2)

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メキシコの豚肉輸出の支配者はアメリカ企業

WTO体制がアジア途上国を犠牲に

 真嶋 メキシコと日本はよく似ていると、改めて思いました。メキシコには「貧しいメキシコは天国からは遠く、アメリカには近い」という言葉があるそうですね。日本はアメリカからは遠いのですが、この四十年間、日本農業はアメリカの食糧戦略にたたかれ続けてきました。

 佐藤 私は二・五ヘクタールの水田で、四十年間米を作って家族を養ってきましたが、WTO体制が続くなら、自分は農業を続けられないという危機感でカンクンにきました。長男が農業を継ぎたいというのですが、収入が少なくてできない。こういう状況が広がっています。

 WTOのもとで、日本でも米の輸入が増え、米価が下がっています。それに加えて、いま日本政府は、百七十万戸の稲作農家を十万戸に大リストラしようという政策を進めています。私たちは夏に、WTO農業協定を改定せよ、米つぶし政策をやめよという要求をかかげて、大トラクターデモをやりました。

 真嶋 アメリカがメキシコのトウモロコシ生産をダンピング輸出で直撃するのと同じことがアジアでも行われています。アジアの発展途上国では主食の生産を放棄させられ、空いた土地で輸出用の野菜や果物を作らされています。そして、これが「北」の国の家族経営を直撃しています。私たちはWTOのもとで、世界中の農民が敗北して、多国籍企業だけが勝利したんだと考えています。

 スアレス とくに輸出農業をやるのは小規模農民ではなく、大規模なアグリビジネスです。

 真嶋 いま進んでいる日本・メキシコ自由貿易協定(FTA)交渉で豚肉が焦点になっていますが、メキシコから日本に豚肉を輸出するのは、アメリカの大企業だと聞いていますが……。

 スアレス そう、スミスフィールド社です。同社は世界一の豚肉企業で、メキシコの中小の養豚業者を次々につぶして、メキシコの豚肉生産の三分の一を支配しています。ですから、日本がメキシコから豚肉を買っても、まったくメキシコ国民のためにはなりません。

 佐藤 日本では八月に養豚農家が反対デモをやりました。

 スアレス おおいにやるべきですよ。


主食を守る、農業を守る立場で連帯を

 真嶋 トルティーヤを初めて食べてみて、日本の米と同じだと実感しました。主食を守る、農業を守る立場でさらに連帯を強めていきましょう。

 スアレス 基本的な食糧は自由貿易の対象からはずすべきだというのが私たちの立場です。あなたたちの見解を読みましたが、自由貿易とダンピング輸出に反対して、農業と国を守るメキシコと日本の農民のたたかいは非常に共通していると思います。大いに交流を続けていきましょう。

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(新聞「農民」2004.1.5付)
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2004年1月

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