「農民」記事データベース20040119-619-05

猿の知恵

農民詩人 石川 十(本名・石井淳一)

〈福岡「みのう農民組合員」〉

関連/“落ち穂拾い”

 若い頃、養鶏をしていた福岡「みのう農民組合」の石井淳一さん(68)。勤めていた会社を退職後、吉井町で農業をしています。農民組合事務の金子徳子さんは「物事の本質をずばり見抜く頼もしい仲間。『こめだより』を米部員が順番で書いていますが、間に合わなかったり、どうしても書けないと言われる方がいるとき、石井さんが書きためた作品を使わせてもらいます」と話します。「石川十」というペンネームで詩をつくる農民詩人、石川さんのエッセーを紹介します。

(編集部)


 日光の観光地に猿がいたので、客がいたずらに食べ物を与えた。そのうちに、食べ物をねだる猿はどんどん増えて、悪さをするようになったため、町は餌をやることを禁じた。

 猿に餌をやらなければ、木の芽や実を食べる、もとの山のくらしに戻るだろうと期待したわけだ。

 ところが、猿の軍団は、山に戻るどころか、群れてますます凶暴になり、店の商品を盗む、客がもっている食べ物を奪うなど、手におえなくなっている。

 最近、おとなしい子や、成績のよい子が犯罪を犯して、大人は対応に困っている。大人の社会も、恨みもない相手を殺したり、コメや果物を盗んだり、理解に苦しむ事件がおおく、テレビの解説者も「わかりませんねー」と、さじを投げた恰好である。

 大人はグルメ旅、子供たちはテレビゲーム、金

がなくなればサラ金宣伝と、テレビ漬けになって、人は生産活動など見向きもしない。

 町や農協の大きな事業は、たいてい国からの補助金によって進めてきた。補助にのらない事業はしない。

 米軍基地でも、原子力発電所でも、迷惑料として億の金を貰うならいいじゃないかと、受け入れてしまう人もいる。物をねだる日光の猿と、どこがちがうのか、わからなくなってきた。そして貰う金がなくなったとき、人は自給自足のくらしに戻るだろうか、凶暴化して猿のように争うのではないかと心配する。

 人が平和に生きつづけるために、環境を守り、生産に務めることを、もっと大事にしなければならないと思う。


“落ち穂拾い”

新潟・瓢湖周辺の白鳥

 白鳥の飛来地で知られる新潟県水原町の瓢湖周辺をはじめ、県内各地の沼地などにぞくぞくと白鳥が渡ってきています。

 瓢湖周辺では四千余羽とのこと。夜明けとともに、「ねぐら」から餌場(えさば)の水田へ集団で移動し、まる一日にぎやかに「落ち穂」をついばんでいます(写真〈写真はありません〉)。夕方になると、「ねぐら」に戻る飛行の群は壮観です。

(新潟県連 松井三男)

(新聞「農民」2004.1.19付)
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2004年1月

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