「農民」記事データベース20040119-619-06

素材の持ち味を生かした料理

「季節料理今ぜき」今関 雅博さん(41)

千葉・八街市(電話043・444・2383)


地元の農業を応援したい

食材の9割を地元・農民連会員から

 地場のものを食することは、昔から当たり前のことだった。生産者に感謝し、素材の持ち味を生かした料理をお客様に提供していくことで、地元の農業を応援したい――こんな思いを抱きながら料理店を営む「季節料理今ぜき」のご主人、今関雅博さん(41)。

 白い暖簾(のれん)のかかった格子戸を開け、落ち着いたたたずまいのお店に入ると、紺色の作務衣に身を包んだ今関さんが迎えてくれます。「今ぜき」は、八街(やちまた)駅から車で五分の千葉県八街市八街にあります。

 「石川県で料理修業をしていた時、金沢、京都に遊びに行き、今の時代から忘れ去られようとしている作法の美しさや、自然のもつ美しさに五感を養った」という今関さんは、九年間の修業の後、母親の飲食店を手伝いながら、構想に二年、立ち上げに一年の歳月をかけ、九七年十月に開業しました。

 「自分の店では、ポストハーベスト農薬を使った輸入農産物を使いたくない」という強い信念を持つ今関さん。その思いが実現したのは、八日市場市で大豆、小麦を生産、加工販売している農民連会員、寺本幸一さんとの出会いでした。

 「今ぜき」で供される、てんぷら粉やうどん、味噌の素材はすべて寺本さんが生産したものを使用。「お客様から天ぷらや味噌汁について意見を頂くと、何よりもまず、寺本さんの笑顔と大豆や畑の美しさが目に浮かぶ」といいます。

 米、野菜、卵、油なども信頼のおける、地元の農家が作ったものを仕入れており、店で使う農産物の九割は作った人の顔がわかるもの。それだけに、「お客様に聞かれて一番うれしい質問は、やはり素材のこと」。お品書には生産者の氏名や生産地が明記されています。

 時には「ご家族の料理に使ってください」と連絡先や入手方法を紹介することも。「家庭の料理が少しでも豊かになる手伝いがができれば嬉しい」と話します。

 「母親の実家が農家だったので、子どもの頃から農業を身近に感じてきた」という今関さん。現在の農業について、「まじめに営む人が普通に生活していける社会になってほしい」と話してくれました。

 店の隣には大型チェーン店の焼肉屋が建設中。素材を愛し、地場の農と消費者をつなぐ今関さんの素朴で謙虚な姿勢に、大型飲食店にはない繊細さを感じました。

(千葉県農民連 小島朋子)

(新聞「農民」2004.1.19付)
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2004年1月

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