「農民」記事データベース20040816-648-01

日本列島3000キロ 安全・安心・豊かな農産物を

ふるさとネットワークで国民へ

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  /初年度の業務計画について(要旨)
  /農民連ふるさとネットワーク結成宣言
  /「農民連ふるさとネットワーク」の結成の意義と役割について

 「日本列島3000キロの農産物を、安全・安心、国内産を求める広範な国民に届けよう」――。消費者、流通業者などと連帯して、日本農業と農山村の再生と復権をめざす「農民連ふるさとネットワーク」(略称・ふるさとネット)が8月3日、結成されました。


農家の思いを消費者につなぐ動脈

農業の再生・復権むけ結成

 産直協活動を発展的に継承

 農民連と産直協が共同してつくる「ふるさとネット」は、産直運動の発展にかけがえのない役割を果たしてきた産直協の様々な活動を発展的に引き継ぐもの。地域の多様な“もの作り”を掘り起こし、大企業の流れ(流通)とは違う「もう一つの流れ」にのせて消費者に届け、国民的な食料自給率向上運動を担っていく――これが「ふるさとネット」です。

 八月三〜四日に東京・台東区民会館で開かれた結成総会には、全国から約二百人が参加。各地でとりくまれている多彩な実践を交流し、「ふるさとネット」の結成でさらに広がる展望を熱く語り合い、結成記念レセプションでは、大きな期待を胸にかけつけた消費者、流通業者などと一緒に新たな船出を喜びあいました。(関連記事3〜5面)

 農民運動の画期をなす

 「ふるさとネット」結成準備委員会を代表して、農民連の佐々木健三会長が「『ふるさとネット』の結成は、農民運動の画期をなすもの。消費者の期待にこたえて生産を広げ、仲間を増やそう」とあいさつ。中津孝司・産直協代表が、結成に向けて一年間、準備委員会と各ブロックで論議を積み重ねてきた経過を報告。続いて、笹渡義夫・農民連事務局長がその意義と役割を報告しました。

 笹渡氏はまず、一九八九年の結成以来、農民連と産直協が“車の両輪”として前進してきた意義を強調。「ものを作ってこそ農民」を合言葉に、生産を農民運動の最も中心的な柱としてきた農民連と、「日本人の味覚と胃袋を取り戻す」ために顔の見える産直運動を発展させてきた産直協の活動を振り返り、「産直協なしには、農民連の生産点での運動は前進しなかった」と述べました。

 そのうえで、今日ますます財界いいなりを強めている政治情勢にふれ、「いま農産物を、一部の大企業や商社の金もうけの道具にするのか、それとも生産者の思いを消費者につなぐネットワークを広げて、日本の食と農を守るのかが問われている」と指摘。さらに、今年四月の国際シンポに参加した海外パネリストの声を紹介し、「この運動は、食糧主権の確立を求める世界の流れとも合致している」と訴えました。

 意気あがる発言相次ぐ

 椎名二郎・産直協事務局長代行が、業務計画案を報告。続いて討論に移りました。

 東海ネットの吉川利明さんは、農家と消費者が力を合わせて運営する生鮮市のとりくみのなかで、「消費者の自主的な運動が、輸入農産物に対抗する力。大企業の支配とは違う『もう一つの流れ』を実感している」と発言。

 秋田県農民連の佐藤長右衛門委員長は、準産直米の飛躍をめざすとりくみについて報告。さらに県内の農業団体から、農民連の米価対策緊急要求に続々賛同が寄せられていることを紹介し、「トラクターデモを九月三日に予定している。生産と販売、そしてたたかいのノロシをあげ、三拍子そろった活動に全力をあげる」と決意を語りました。

 地元野菜から始まり、果物、豚肉、魚、豆腐などを加えて、多彩に発展している新婦人産直について発言したのは、京都産直センターの民谷清治さん。通年供給と品目の拡大に、全国の産直組織の力も借りながらこたえてきた経験を振り返り、「これを土台にして、大いに生産を高める運動にとりくんでいきたい」と述べました。

 また、「山形・庄内と新潟のリレー出荷で、農民連の茶豆ブランドを確立」(新潟県連の和田忠敏さん)、「九州ネットを通じた販路の開拓で、地元農民組合を結成」(鹿児島県連の吉村重則さん)、「地元スーパーのインショップにとりくみ、幅広い農家の結集に成功した」(佐久産直センターの土屋浄さん)など、意気上がる発言が相次ぎます。「共通の悩みを相談でき、励まし合える部会の活動は本当にいい」(和歌山県連の川村重雄さん)、「一部の大手業者が牛耳る食肉業界のなかで、『ふるさとネット』の役割は大きい」(畜全協の森島倫生さん)といった声も出されました。

 中津氏は討論のまとめで、「この間の方針が着実に実践され、教訓を引き出し、課題を克服している」と報告。そのうえで「産直協の運動は、物のつながりにとどめず、顔の見える関係を大事にしてここまで前進してきた。これからも、この関係をさらに広げ、組織を前進させよう」と訴えました。

 総会は「ふるさとネット」結成宣言を満場の拍手で採択。規約、業務計画、予算を承認し、十八人の理事と三人の監事を選出しました。選出された役員は以下のとおり。

 代表=堂前貢、副代表=椎名二郎、高橋清、根本敬、松本和弘、山口一郎、事務局長=中津孝司、事務局次長=森谷精、横山昭三、理事=井上耕太郎、奥貫定男、鈴木弥弘、民谷清治、坪井貞夫、町田拡、村尻勝信、山本英樹、吉川利明、監事=本多正一、薄井康好、山本博史

 羅針盤の役割を果たした産直協

 「ふるさとネット」結成総会に先立って、産直協第十六回総会が開かれ、「ふるさとネット」への移行を承認しました。

 中津代表は、十五年間の産直協の運動を振り返り、こみあげる思いに時おり声をつまらせながら、「この間の運動で得た教訓を『ふるさとネット』に引き継いでいこう」と報告しました。

 討論では、「産直協に入って本当によかった。これからも厳しい時代が続くだろうが、頼りになるのはやっぱり産直協の仲間だ」(茨城常陸野産直センターの飯田忠夫さん)といった声も。昨年から急速に広がった九州ネットの準産直米のとりくみを報告した宮崎県連の村尻勝信副会長も「産直協は、羅針盤の役割を果たしてきた」と発言。「準産直米のとりくみを通じて、百姓に気概が生まれている」と、現場の様子を紹介しました。

(新聞「農民」2004.8.16付)
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2004年8月

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