「農民」記事データベース20050228-673-01

ファーストフード

30日間食べ続けたら…

米映画「スーパーサイズ・ミー」みて

関連/怖い(マクドナルド)企業戦略<

 ハンバーガー、ポテトフライ、フライドチキン、コーラ…。子どもからおとなまで多くの人が、ファストフード店を利用しています。ファストフードを三十日間食べ続けたら、どうなるのか? いま公開中のアメリカ映画「スーパーサイズ・ミー」(モーガン・スパーロック監督)が話題を呼んでいます。


肥満・疲労感・頭痛・情緒不安定

 映画は、スパーロック監督自らがファストフードの代表・マクドナルドのメニューを一日三食、三十日間食べ続け、体調がどうなるかを記録したもの。肥満に悩む二人の少女がマクドナルド社を相手に訴訟を起こしたニュースを見たのがきっかけです。マクドナルド社は「食品と肥満との関係はない」と主張。監督は「彼女たちの言い分が正しいのか、マクドナルド社の言い分が正しいのか、自分で証明しようと思った」のでした。

 自ら“人体実験”をしながら、ファストフードに「支配」されている学校給食や、大手食品業界に牛耳られた政界の実態も告発しています。医師や栄養士に検査を受けながらの生活。それでも店で「スーパーサイズ」(超特大)のメニューを勧められたときに断れないつらさ。「私をスーパーサイズの肥満にしてくれ」と言わんばかりの“マック攻勢”です。

 びっくり数字

4600万人が毎日マクドナルドを利用。スペインの人口よりも多い人数。

60%、約1億人のアメリカ人成人が過体重か肥満。

 映画では、青少年や子どもへの影響にも警鐘を鳴らしています。

3割の子ども(4歳から19歳)がファストフードを毎日食べており、1970年に比べ、ファストフード消費量は5倍に。(米小児科学会)

2歳の幼児がもっとも頻繁に口にする野菜はポテトフライ。「毎日」との回答が20%近くに。甘い果汁入り飲料を毎日飲んでいる幼児が30%以上も(米国食事療法学会)。専門家は「食べ物の好みは2、3歳までに決まるので、この時期に不健康な食事の癖をつけると将来の肥満につながる」と警告しています。

 人ごとでない日本

日本マクドナルドの売上高と店舗数の伸び 71年、東京・銀座にマクドナルド第1号店がオープンしてから24年。売上高と店舗数は年々増え、2003年の売上高は3867億円、3773店舗に。(グラフ1)

 日本マクドナルドの創業者、藤田田(ふじたでん)氏の持論は「人間は12歳まで食べていたものを一生食べていく」でした。子どもを意識したセットメニューをはじめ、景品のおもちゃや遊び場の提供など、子どもをターゲットにした販売戦略を徹底。この間、子どもの肥満は年々、増加と低年齢化の傾向にあります。(グラフ2)

増えている肥満児傾向

 映画を見た、高校生の娘をもつ和田とくさん(54)は「健康を害していく実験を見て、ファストフードが人気を集める社会の問題点とおとなの責任を感じます。健康に良い食べ方を実践し、伝えていくことが大切ですね」と語っていました。

(3面に関連記事)


実験の跡をみると

〈1日目〉

 意気揚々と「マフィンバリューセット」。「子どもにとっては、夢のような1カ月だ」

〈3日目〉

 「胃の調子が悪い」

〈5日目〉

 スーパーサイズの「チーズバーガーセット」
 栄養士からカロリー摂取過多を注意される

〈9日目〉

 すべてのメニューを制覇。「気分が悪い。食べてすぐまた食べたくなる」

〈18日目〉

 「最悪。頭痛がする。でも食べたら気分は最高にハッピー」

〈21日目〉

 夜中2時「何だか息苦しくて目が覚めた。動悸(どうき)も激しくなった。実験はやり抜くけど体のことが心配だ」
 医師「すぐにやめなさい」

〈最終日〉

 体重95.3キロ(11キロ増)、コレステロール値233(65ポイント上昇)、体脂肪18%(7%増加)
 気分はさえず、疲労感があり、情緒不安定に。性生活はないに等しかった。食べるともっと欲しくなり、食べないときは頭痛がした。

(新聞「農民」2005.2.28付)
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2005年2月

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