「農民」記事データベース20050627-689-07

アメリカBSE汚染の深刻さ実感(2/3)

全国食健連訪米視察団に参加して

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毎年三百人ものヤコブ病死者…

だが原因究明なし

 佐々木 どんな内容か楽しみだ。視察から帰ってきた五日後に、農務省は疑陽性になった三頭をウエスタンブロット法で調べ直したところ、そのうちの一頭から陽性反応が出たと発表した。これからイギリスで確認検査するそうだが(十七日現在まだ送ってもいないことが判明)、日本の基準ならすでに二頭目の感染牛だ。ハンセン博士は、ウエスタンブロット法で検査すれば陽性になると、ほとんどの科学者が考えていると語っていた。

 石黒 これ一つとってもアメリカの検査のズサンさがはっきりするし、「かなり汚染されている可能性がある」というハンセン博士の指摘にも信ぴょう性が出てくる。しかし、農務省はいまだにいつどこでどんな牛を検査しているのか公表しない。このことを食肉輸出連合会でも聞いたところ、テロの脅威を口実にして「安全保障上の理由からだ」という答えだった。“テロの脅威”などありえない。本当に恐れているのは真実が明らかになることだと直感した。

 坂口 それから、ロドニー・レオナルドさんによると、自主的全頭検査を表明していたクリークストーン社は最近、方針を翻したそうだ。ジョン・スタウバーさんは「農務省は九十年以上前の法律を持ち出して、自主的全頭検査を禁止している」と指摘していた。(囲み左)

 石黒 とにかく臭いものにはフタをするという態度だ。スタウバーさんとロニー・カミンズさんは、変異型ヤコブ病のことについても語っていた。アメリカでは毎年約三百人がヤコブ病で亡くなっているが、その人たちがBSEに感染したのかどうか、まったく調べられていないと。


BSEフリーの牛肉はどこ?

 世界の消費者はそれを求めている。生産者は自ら進んでそれにとりくもうとしている。しかし農務省はそれを許さない。

 二〇〇四年二月、カンザス州の食肉加工会社、クリークストーン社は、自主的にBSE検査を行うため、独自の研究所を立ち上げると表明した。しかし農務省は、もし自主的に検査を行えば、司法処置を含む対応をとると警告した。

 農務省は、一九一三年に施行された「ウイルス法」で与えられた、家畜の生命にかかわるウイルス伝染病に対する特権を利用している。

 農務省は、自主検査によって業界に大きな被害がもたらされると言う。「もし自主検査を認めて“非BSE感染牛”が市場に出てしまったら、他の検査されていない牛肉がすべて危険なものになってしまう」と恐れている。

 しかし、消費者は「農務省は食肉産業を支援し、国民の健康を脅かしている」と指摘し、真実を隠すアメリカ政府との間に緊張が高まっている。

(メディア・アンド・デモクラシー・センター上席研究員 ダイアン・フォーセッタ)

(新聞「農民」2005.6.27付)
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2005年6月

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