「農民」記事データベース20050711-691-02

防除不可能な病害虫侵入の恐れ

生鮮ジャガイモ輸入解禁
アメリカの圧力で来春にも

“大打撃だ”と不安な産地農家

関連/“輸入解禁を許さない”


 日本では、植物防疫法でシストセンチュウなどの病害虫を防止するため、発生国からの生鮮ジャガイモの輸入を禁止しています。しかしアメリカは昨年八月、生鮮ジャガイモの輸入解禁を日本に要求。「農水省は早ければ来年春から、ポテトチップスの加工用に限って解禁する方針」と報道されています。

 アメリカは、病虫害の侵入防止策として、ポテトチップス用ジャガイモを日本の加工場まで完全密封して直接搬入することや、未発生の生産地に限定し、付着する土はブラッシングで落とすことなどを提案していますが、生鮮で輸入される以上、わが国ではまだ未発生のシストセンチュウという病害虫が侵入する恐れはぬぐいきれません。

 またポテトチップスメーカーのカルビーが、端境期の品薄期を理由に、アメリカ産ジャガイモを輸入しようとしていることも見逃せません。

 カルビーは、輸入禁止にもかかわらず、「試験栽培」と偽ってアメリカ産種芋(たねいも)を農家に栽培させるという違法行為を行い、しかも栽培した農地からシストセンチュウが検出されました。こんな企業の要求に

そって輸入解禁することは断じて許されません。


“輸入解禁を許さない”

北海道農民連 地方議会へ請願
紙参議院議員 農水委で主張

 シストセンチュウは、ジャガイモの根に寄生して養水分の吸収を妨げ、枯死させます。また栽培しなくても十年以上生存でき、増殖率が高いため、きわめて防除が困難。「根絶はまず不可能」(道立十勝農業試験場)と言われています。

 北海道のポテトチップス向け生産量は、二〇〇三年産で二十六万五千トン。北海道や長崎などジャガイモの産地では、「輸入が解禁されれば、大きな打撃になる」「一番心配なのは、病気が輸入されること」との声があがっています。

 北海道農民連は、輸入解禁を許さない取り組みを進め、地方議会への請願なども行なっています。主産地・十勝では、管内議長会が各町村議会に意見書をあげるよう指示文書を出しています。

 また日本共産党の紙智子参院議員は、六月十四日の農水委員会で、アメリカ産生鮮ジャガイモの輸入解禁は、農作物に大きな被害を与え、根絶が困難な病虫害の侵入を許すことになり、断固認めるべきではないと主張。農水省の中川消費・安全局長は、「科学的、専門的な見地からアメリカの提案をチェックし、考え得る万全の点検をしたうえで、最終的な判断をしたい」と答えました。

(新聞「農民」2005.7.11付)
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2005年7月

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