「農民」記事データベース20060213-719-09

タイ農村かけある記(2)


無農薬バナナ輸出に誇り
健康で所得も増えた農家

 東都生協に無農薬バナナを輸出するタヤン農協

 東都生協は、「安全でおいしいバナナを食べたい」という組合員の願いから、タヤン農協と協力し一九九一年から農薬を散布せず栽培したバナナの供給を続けています。

 タヤン農協があるペチャブリ県は、バンコクから南に約百六十キロ行ったところにあります。私たち視察団を迎えてくれたチャラー組合長はじめ職員の話によると、設立当初(一九七四年)、三百人足らずだった組合員が、今では二千人に。以前は米も生産していましたが、今はバナナ専門農協です。品種は、ホムトン・バナナが七割で、モンキー・バナナが三割。ホムトン・バナナは、日本人がイメージするバナナにもっとも近く、タイ語で「黄金の香り」という意味で、香りと甘味が特徴です。

 栽培面積は約四百ヘクタール。販売高は約三千万円で、その半分以上を東都生協が占めています。「タヤン農協のバナナは、日本の生協に出荷しているから安心」と、いまや「五つ星ブランド」で、有名ホテルや大手スーパーなどから引き合いがあるとのことでした。

 農薬散布を中止して栽培や輸送など、たいへんな苦労もあったそうですが、農家が健康になり、農業所得も増えました。近くにあるペチャブリ農業大学と連携して、どうやって害虫からバナナを守るかなど、無農薬・有機バナナの研究を続けています。

 しかし、いま頭を痛めているのが原油の高騰。ガソリンの価格はこの一年で二倍近く値上がりし、機械や輸送の燃料代、こん包資材にも影響が出て、このままでは、バナナの価格を値上げせざるをえないとのことです。

 次々に農協の集荷場に集まってくる緑色のバナナを入念に選果、洗浄、検品している農家の人たち(写真)は、「このバナナは一カ月後に日本に届くんだよ」と、誇らしく語っていました。

(つづく)

(新聞「農民」2006.2.13付)
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2006年2月

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