「農民」記事データベース20060227-721-10

京都・兵庫の農民連がシンポ

獣被害から村を守るには…

農政局・市町の担当者ら参加


各地から取り組みや苦労を報告

 京都農民連と兵庫農民連が共催して、「獣害から村を守るシンポジウム」が二月五日、京都府福知山市で開かれ、雪の中を百二十人が参加しました(写真〈写真はありません〉)。農水省の近畿農政局や市町の担当者など、行政関係者も多く見られました。

 京都農民連の佐々木幸夫会長があいさつしたあと、滋賀県立大学の野間直彦教授が「里山を管理して獣害を防ぐ」と題して講演。滋賀県湖東平野の離山に、緩衝地帯を設けて羊を放ち、サワラビを植えたことでイノシシの被害を減少させた実験のようすを報告しました。

 また、パネリストが各地の取り組みや苦労などを報告しました。丹波市の足立和義さんは、防護さくと猟友会による駆除の二本立てで対応していますが、「それだけでは不十分だ」と発言。宮津地方森林組合長の岡田一郎さんは「被害を食い止めるには森林の整備に尽きるが、高齢化で里山が管理できなくなった」と、現状を報告。福知山市夜久野町の衣川利章さんは、「一年に七百頭のシカを捕獲したが数が減らない、あらゆる防護策を試みたがだめだった」と、苦労を語りました。

 兵庫県神河町の農業委員で農会長をつとめる藤原政勝さんは、「捕獲や威嚇(いかく)では根本的な解決にはならない。どんぐりの木を植えてサルとすみ分けをはかることをめざしている」と報告。舞鶴市猟友会副会長の土佐繁美さんは、イノシシの捕獲について「捕っても捕っても減らない。猟友会の中にも、“絶滅すべき”とか、“捕獲して収入を得たい”など考え方の違いがある」ことや、わなを仕掛ける苦労などを話しました。

 討論では「人間が生態系を変えたのが原因」、「人間の手でもとにもどすべきだ」、「県をこえた広域的な対応が必要ではないか」などの意見が出され、有意義なシンポジウムとなりました。

(兵庫農民連 上野信行)

(新聞「農民」2006.2.27付)
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2006年2月

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