「農民」記事データベース20070409-775-07

インクライン

舟を台車にのせ峠越え

京都 農産物運搬にも貢献した


 京都市左京区蹴上にあるインクライン(傾斜鉄道)は、鴨川を通って船溜(たまり)に到着した舟から乗り降りすることなく、峠を舟ごと台車に載せて上下させる目的で建設されました。

 大津から京都を結ぶ東海道の難所であった峠は、以前から旅人や荷物の輸送にとって、悩みのタネでした。そこで琵琶湖から水を引き、その水路を利用して舟運をおこすとともに、田畑に水を引くことが古くからの夢でした。

 一八八五年(明治十八年)に、水車動力、舟運、かんがいなど多目的な効果をはかるため、疎水開削工事に着手し、二年後にインクライン着工。延長は、約五百八十二メートルで世界最長、高低差三十九メートル、台車の長さは約十一メートルで、インクラインの動力源は、事業用としてはわが国初の水力発電所の電力を使用して、一八九一年に運転を開始しました。

 琵琶湖と淀川が疎水で結ばれ、舟運により北陸や近江、大阪から人や米、炭、材木など物資の往来でにぎわいました。一九一一年には渡航客が十三万人、一九二五年には二十二万三千トンの物資、一日百五十隻という最高を記録したことも。

 しかし、交通機関の発達で陸送化が進み、一九五一年九月を最後に六十年の歴史に幕を閉じました。今の京都を築いた遺産を後世に伝えるために、形態保存されています。春になると、レールを包み込むように桜のトンネルが咲き誇り、花見の散歩道になっています。

(愛媛・今治市菊間農民組合 大道法幸)


 ◇訂正 3月5日付4面「この人・佐藤真平さん」の記事中、「千葉県の多古町旬の味産直センターで」とあるのを「千葉県多古町の生産法人ゆうファームで」に訂正します。

(新聞「農民」2007.4.9付)
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2007年4月

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