旬の味

　税金申告の季節が終わり、これから地方税が課税される。なかでも、国民健康保険税の値上げが、あちこちでたくらまれているようだ。不況のもとで、国保税の値上げは生活を直撃する▼三十余年間にわたる米の減反政策が、農村経済を疲弊させるなかで、農外収入が大きな役割を果たしている｡家が新･改築され、大型農機や自家用車が何台も庭先に並ぶ。果たして暮らしが豊かになったのだろうか▼家や車のローン、サラ金。そして自らの命を絶つ人―。事件がすぐ身辺で起きている。十余年前、「これが新しい貧乏のかたち」と喝破（かっぱ）した人も▼「しんぶん赤旗」で、産直フォークシンガーのたかはしべんさんが「♪ウチはお金がないけど、やさしい心があるんだぞ」と歌っている。三月に百歳を迎えた「ノンちゃん雲に乗る」の作者、石井桃子さんは「子どもたちからアラビアン・ナイトを取り上げる政府がでてきたら、命がけでたたかう」と書いている。おれたちも「眠れる獅子」ではいられない。