「農民」記事データベース20070430-778-01

日米EPA交渉

アメリカが途方もない圧力

関連/全国食健連の国際フォーラム

 「米を含むすべての農業分野」を対象に、日米EPA(経済連携協定)交渉を始めろ――アメリカから、こんな途方もない圧力が強まっています。こういう圧力のもと、四月二十七日に開かれた日米首脳会談では、日米EPAが初議題になり、にわかにキナ臭さを増しています。


コメを含むすべての農業分野が対象だ

 米を含む完全自由化を要求

 二月十六日、アーミテージ元米国務副長官ら超党派グループは「日米同盟に関する報告書」(第二次アーミテージ報告)を発表しました。

 同報告は安倍内閣の改憲の動きを後押しし、日米軍事同盟を強化するとともに、日米両国が経済統合してアジアの「軸」となるうえでの障害として農業をあげ、日本農業解体作戦に最も多くの字数を費やしています。

 第一次アーミテージ報告(二〇〇〇年)がブッシュ政権の対日政策の「青写真」になったことを考えれば、決して無視できない報告書です。

 報告書は、日本の農業人口の減少と高齢化、農業部門のGDP(国内総生産)比率の低下を「自由貿易にとっての良い兆候」といって、他人の不幸を大喜び。

 こういう日本農業の「危機」に便乗して「米を含むすべての農業分野を米日EPAの中心部分として俎上に載せ……できるだけ早く包括的な自由貿易交渉を始めるべきだ」と要求しています。

 さらに「自由化が日本農業の消滅を意味しないことを日本人に認識させる」ために、経営規模拡大による効率化とともに、日本農業を「有機農業のような高品質のニッチ(隙間)部門に移行」させるべきだと「助言」しています。

 自給率12%試算とそっくり同じ

 「ニッチ部門」への移行とは、米や小麦、大豆、食肉、牛乳などの基礎的食糧の生産を壊滅させたうえで、日本農業を花や「高級」果実、葉菜の類の生産に押し込めることを意味します。

 アーミテージ報告の十日後、農水省は経済財政諮問会議「EPA・農業ワーキンググループ」の求めに応じて、農産物の関税をゼロにした場合、食料自給率は四〇%から一二%に急落するという試算を公表しました(表)。

 
農産物の関税をゼロにした場合の影響試算
食料自給率
40%⇒12%
国内農業生産
3兆6000億円減少
就業機会の喪失
約375万人が失業
作付面積
272万ヘクタール減少(耕地面積6割減)
90%減
小麦
99%減
砂糖
100%減
牛乳
88%減
牛肉
79%減
豚肉
70%減
試算20品目計
70%減
農水省「国境措置を撤廃した場合の国内農業等への影響(試算)」
(07年2月26日)

 小麦や砂糖は壊滅状態、米も九〇%減、五〇%減を免れるのは卵と鶏肉、茶、果 物の一部ぐらいという悲惨な試算。

 同ワーキンググループの本間正義座長代理(東大教授)は、この試算について「日本にほとんど農業がなくなる」と認めながら、「国内生産が結構残るじゃないか」と言い放ちました。

 試算の結果といい、「消滅」ではなく“残る部門もある”という座長代理の言い分といい、アーミテージ報告そっくり。

 また、民主党は、政党としてはいち早く「米国とFTAを早期に締結し、あらゆる分野で自由化を推進する」と、アーミテージ報告そっくりのことを言い出した党です(〇六年十二月「政権政策の基本方針」)。

 選挙が終われば自由化

 いっせい地方選挙が終わるやいなや日豪EPA交渉がスタートし、さらに四月二十七日の日米首脳会談では、BSE牛肉輸入のほぼ全面的な解禁とならんで、日米EPA交渉入りをにらんだ協議まで行われました。

 日米EPAが日豪EPAに輪をかけて危険なものであることは、「日豪間の難しい問題のいわば拡大版が日米EPA」(四月三日記者会見)という甘利経済産業大臣の言明からも明らかです。

 しかし、経済産業省は四月十六日に開いた産業構造審議会通商政策部会で、中国とならんでアメリカとのEPAの「取り組み拡大が今後の課題」と報告し、日本農業つぶしの究極のEPA交渉に乗り出す姿勢を示しました。

 日米の財界もとくに昨年秋から、日米EPAを結べという圧力を急速に強めています。

 “選挙が終われば自由化”は自民党の常套(とう)手段です。

 しかし国民の九割近くは、これ以上の自由化に反対し、自給率向上を望んでいます。こういう常識と世界の流れに逆らう政治に未来はありません。


全国食健連の国際フォーラム

“貿易自由化”は食と農業を破壊する―FTA
EPA・WTOから食糧主権へ

日 時 5月19日(土)午前11時〜午後4時半
ところ 東京都板橋区「板橋区グリーンホール」
    (東武東上線「大山」駅、都営三田線
    「板橋区役所前」駅から徒歩5分)
参加費 3000円(当日会場でお支払いください。学割あり)
    終了後、新宿農協会館で海外代表を囲んで「懇親会」を行います(会費3000円)。
主 催 全国食健連
問い合わせ・申込先 全国食健連 TEL 03(3372)6112、Fax 03(3370)8329
          Eメール center@shokkenren.jp
 農民連 TEL 03(3590)6759、Fax 03(3590)6953
     Eメール info@nouminren.ne.jp

(新聞「農民」2007.4.30付)
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2007年4月

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