「農民」記事データベース20070514-779-05

外国産輸入弁当(オーベントー)販売打ち切りに

JR東日本の子会社NRE

関連/憲法守れ、農業守れ


アメリカ産の食材低価格が売り物に

販売目標の3〜5割と低迷

 JR東日本の駅構内や車内などで売り出されているアメリカ産冷凍輸入弁当「O―bento」(オーベントー)が販売打ち切りに追い込まれました。JR東日本の子会社「日本レストランエンタプライズ」(NRE)は、オーベントーを製造するアメリカ・カリフォルニア州の子会社を売却。販売打ち切りが意味するものは何か?

 米飯を肉魚調製品で

 「弁当革命」などと自画自賛して二〇〇一年七月に売り出されたオーベントーは、カリフォルニアの工場で製造し冷凍した商品をそのまま輸入。食材はすべてアメリカ産で、大六百円、小三百三十円(当時)の低価格で売り出され、オーガニック(有機)を売り物にしていました。

 農民連は発売当初から、オーベントーの問題点を取り上げ批判。「安いアメリカ産の原料を使い、ファストフードと価格競争をするのが本当のねらいで“有機”は後からつけた口実にすぎない」と暴露、輸入中止を求めました。

 本来弁当は、米飯が主成分のため、輸入の際に米調製品として高い関税(四九〇%相当、キロ当たり三百四十一円)がかかりますが、肉や魚の割合が弁当の二割を超えると肉・魚の調製品と扱われ、低関税(六〜二一・三%)で輸入できます。NREはこの制度を悪用して、外米を肉・魚調製品として低関税で輸入するという“関税逃れの脱法行為”を平然とやっていました。

“関税逃れの脱法行為だ”
農民連が告発、国を動かす

 “輸入”中止を要求

 農民連は、早くからこの脱法行為の本質を見抜き、食品分析センターがオーベントーの肉・魚の量 を調査。その結果、肉・魚の割合が二〇%以下のものが十一個中六個(表)ありました。

 
NRE輸入オーベントー「肉・魚」の含有割合
種 類
牛すき焼き風弁当
鶏ごぼう照り焼き弁当
鮭ちらし弁当
総試料数
4
5
2
20%以下試料数
1
4
1
総重量
940.4グラム
1352.2グラム
544.1グラム
「肉・魚」の重量
192.9グラム
252.6グラム
108.7グラム
含有割合
20.51%
18.68%
19.97%

 こうした結果を踏まえ、農民連、食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)は、農水省、財務省などと交渉し、オーベントーの厳正な調査と輸入中止を要請しました。翌日には、財務省が税関にたいし「検査を厳重に実施せよ」と指示。さらに検査の結果 、八万一千食のうち六万九千食が違反だとして計百九十万円が追徴課税されました。農民連、食健連の要求が国を動かしたのです。

 その後も、アメリカでのBSE発生による牛肉輸入の禁止、鳥インフルエンザなどが重なり、オーベントーの販売は落ち込んでいきました。今回の販売打ち切りについて、NREの担当者は「BSE、鳥インフルエンザなどの要因が重なって、食材が安定的に確保できなくなった。とくに売れ筋の牛肉商品の販売が困難になったのが大きい」と釈明します。

 10月ごろをめどに

 販売当初「一日一万食」が目標だったオーベントーは、ピーク時でも七千食止まり。最近は大きく見積もっても「三千〜五千食」と低迷。「今までの販売実績と在庫分がなくなるのとを勘案して十月ごろをめどに販売を打ち切る」(NRE)とのことです。

 交渉に参加するなど、オーベントーに反対の論陣を張っていた秋田農民連の佐藤長右衛門会長は「ほっとしています。上京の際、東京駅をよく利用しますが、絶対に買わなかった。米はカリフォルニア産アキタコマチだと言うから余計に腹がたちました。やっぱり弁当は、日本の国土で採れたもの、作った人の顔が見えるものが一番です。日本の育種を海外で栽培すること自体が間違っています」と歓迎します。


憲法守れ、農業守れ

第78回メーデー

「憲法を守れ」「格差と貧困をなくせ」をテーマに、第七十八回中央メーデーが東京・代々木公園で開かれ、四万二千人が参加。メーデー実行委員会の坂内三夫代表委員(全労連議長)があいさつし、日本共産党の志位和夫委員長、映画人九条の会の呼びかけ人で映画監督の大澤豊さんが連帯あいさつしました。

 農民連も参加し、白石淳一会長を先頭にデモ行進(写真〈写真はありません〉)。「農業破壊は許さない」「アメリカ産牛肉の輸入をやめろ」の声を響かせました。

(新聞「農民」2007.5.14付)
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2007年5月

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