「農民」記事データベース20071001-798-07

脱脂粉乳 国際価格が高騰

国産価格と1000円以上の格差
乳価や缶コーヒー価格などに影響

関連/第70回大会と結成60周年交流のつどい


生産者乳価・補給金の引き上げを 北海道農民連要求

脱脂粉乳の国際価格の推移 脱脂粉乳の国際価格が急騰しています。○七年六月現在でトン当たり四九五〇ドルに跳ね上がっています。これを為替相場一ドル一一五円で換算すると二五キロあたり一万四二三一円。一方、国産脱脂粉乳の価格は二五キロあたり一万三〇一九円ですから、一千円以上も上回る水準となっています。

 国内では、国産脱脂粉乳の在庫が増大し、その処理のために、生産者自らも拠出して、安値販売を行ってきました。国際価格の上昇は、こうした国内対策を一変させるもので、先行きを見通せなかった中央酪農会議やホクレンのその場しのぎの対策に酪農家から、大きな批判の声が上がっています。

 国際価格上昇の要因は、中国、インドなどでの需要の拡大が上げられていますが、オーストラリアの干ばつによる生産の減少、トウモロコシの急騰と飼料作物からバイオ作物への転換があり、今後もこうした事態が続く可能性が高まっています。

 アメリカでは、脱脂粉乳価格上昇で、生産者乳価がこの一年間で一・七八倍に引き上がっています。○六年六月の加工向け生産者乳価は一キロあたり二八円(為替レート一一五円で換算)でしたが、○七年六月では五〇円になっています。しかし、北海道の生産者乳価は四月から七月平均で七〇円となり、前年比より七〇銭くらい低いものとなっています。

 ただ、「脱脂粉乳向けの乳価が二円五〇銭(上期)引き上げられたことから、今後は前年を上回る見込みだ」(ホクレン)としています。しかし、加工原料乳価交渉は据え置きとなり、実勢を反映しているものとは言えないのが実態です。

 国内に輸入される脱脂粉乳の多くは「脱粉調整品(脱脂粉乳含有は三〇%程度)」で、これには砂糖も含まれていることから、缶コーヒーやアイスクリームなどに多く使われています。この調整品の価格もキロ二〇〇円と上昇し、さらに値上がりの見込みとなっていることから、業者の中からは国産脱脂粉乳にシフトする動きも出ています。

 他の農産物価格もそうですが、国内農産物価格が異常に低いことから、乳製品についてもひっ迫は避けられません。

 北海道農民連は、生産者乳価と、国が加工原料乳価に上乗せする補給金の引き上げ、生産者にキロ三〇円程度の安い乳価を押しつける、ハード系チーズ向けへの拡大の見直しを求めています。

(北海道農民連・野呂光夫)


全税関

第70回大会と結成60周年交流のつどい

 全税関労働組合は九月十四日、神奈川・川崎市で第七十回定期大会と組合結成六十周年交流のつどいを開きました。

 「つどい」では、「全税関六十年の歩み」と題するスライドを上映。一九四七年十一月十一日の結成大会の記念写真を映し出し、「結成宣言」を読み上げるナレーションで始まり、全税関の歴史が、国家権力による弾圧と分裂攻撃、組合員に対する賃金や冠婚葬祭、産休明けに机がなくなるなど「人間の尊厳をかけた不当差別とのたたかい」だったとまとめています。

 全税関のたたかいは「国民のための税関行政の確立」、「人間らしく明るく平和な社会をめざす」多くの国民と連帯する運動への貢献でもあります。特に、食健連結成ころからおこなわれている輸入食品の実態を告発する「港見学」の活動は、二千回を超え、「農産物輸入自由化反対」、「食料自給率の向上を」の世論を大きく広げています。

 こうした世論の広がりは、全税関組合員への不当差別撤廃を求める各地の裁判闘争にも影響を与えました。東京弁護団長の竹沢哲夫さんは、七三年に全税関委員長だった石黒昌孝さん(現、農民連事務局次長)から送られた「弁護依頼書」を示しながら、「これは請負ではできない、いっしょのたたかいだ」と決意し、素晴らしい最高裁判決を勝ち取ったと石黒さんとがっちり握手。

 横浜地裁弁護団の小島周一さんは「全税関の組合員は底抜けに明るい。差別とたたかっているからこそ『心は自由』だったのだと思う」と述べ、今こそ、「たたかう労働組合が必要なときはない」と激励しました。

 その後、退職した皆さんも含め、全国各地の活動や近況報告をおこない交流を深めました。

(新聞「農民」2007.10.1付)
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2007年10月

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