「農民」記事データベース20071001-798-08

農地政策見直しの動向(上)

全国農業会議所 農地・組織対策部長 柚木茂夫さん
(農業・農協問題研究会例会の講演から)


農水省 今秋にも改革案とりまとめ

 農業・農協問題研究所は九月一日、政府や財界などの「農地政策見直しの動向」について、全国農業会議所の農地・組織対策部長、柚木(ゆのき)茂夫さんを招いて研究例会を開きました(写真〈写真はありません〉)。柚木さんの講演の内容を二回にわたって紹介します。

 議論は3つのステージで進行

 農地制度・政策の見直し議論は、三つのステージで行われています。ひとつは農水省。二つ目が自由民主党。そして三つ目が財界代表の参加する経済財政諮問会議です。

 まず農水省の動向からみていきましょう。昨年九月に、農水副大臣・宮脇光寛氏の私的な勉強会として「農地政策の再構築に向けて」と題する報告をまとめました。この勉強会は、農水省内の農地制度や政策にかかわる担当者などが参加したものです。この報告は「今後の検討素材」という位置づけで、担い手への農地の集積や遊休農地の解消、新規参入の促進などを柱に、一般企業については「農業参入法人の拡大」と位置づけています。すでに、農業経営基盤強化促進法の特定法人貸付事業によって、農業生産法人以外の法人であっても農地の利用権による農業参入は可能であり、他業種の企業が農業経営に参入している事例は、地場の建設業者など二百六件にのぼっています。これを二〇一一年度には五百法人をめざそうということになっています。

 有識者会議の出す案に注目が…

 次にこの「素材」を受けて、経営局長のもとに十二月、農地利用の実態調査や海外の農地制度を調査することなどを目的に、プロジェクトチームが設置されるとともに、今年一月には、「農地政策に関する有識者会議」(座長は弁護士の高木賢氏)を設置し、本格的な議論を開始しました。この有識者会議には「専門部会」も設け、「農地の面的集積」(三月)や「農地の権利移動、優良農地の確保、耕作放棄地対策」(五月)にかかわる論点を整理し、この秋口には一定の取りまとめがなされます。このなかで、農地の権利移動の円滑化として、企業参入や自作農主義についても議論されており、どういう見直し案をだしてくるのか、大変注目されます。

 また、経済財政諮問会議は六月に発表した「骨太方針二〇〇七」のなかで、「秋までに農地に関する改革案と工程表をとりまとめる」よう、農水省に求めていますから、この秋がまさに農地政策見直しの大きな山場となります。

(つづく)

(新聞「農民」2007.10.1付)
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2007年10月

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