「農民」記事データベース20071001-798-09

私たちと同じだ

韓国の農民 農民連農家と交流

米価が下がる/減反押し付け/助成切り捨て

 韓国の全羅北道(ぜんらほくどう)の農民会・女性農民会の農家二十五人が、九月十二日から十七日まで来日、食健連や全農協労連と懇談したほか、農民連分析センターを視察、茨城県・神奈川県の農家と交流しました。


日本の産直の取り組みに感動した

 生産農家ならではの質問がとぶ

 「韓国も同じだ」――来日三日目に訪れた茨城県石岡市の常陸野農民センター・産直センターとの交流会では、何度もこの言葉が繰り返されました。全羅北道は、南部に位置する韓国屈指の大稲作地帯で、今回の訪日団参加者も事務局専従一人を除き全員が稲作農家。ものづくりや農家の経営実態、運動の進め方など、生産農家ならでは、という具体的な質問が飛びかいました。

 農民連会員で運営するライスセンターでは、ちょうど稲刈りの真っ盛り。「田んぼの様子も、コンバインも、韓国とそっくりだ。ウチに帰ったみたいだ」と一行は大喜び。出荷時の調整方法、機械オペレーターの労賃など、質問も具体的です。産直センター代表理事の飯田忠夫さんが「WTOによる自由化政策が始まってから、米価は四十年前の値段に下がり、営農への助成もどんどん切り捨てられている」と話すと、「韓国でもまったく同じだ」。減反で転換したレンコン畑を見て「韓国でも減反が押し付けられている。そこもまったく同じ」と言います。

 “お金に換えられない喜びだ”

 懇談の席では、農民センターと産直センターが消費者との交流を重視して、産直や共同を広げてきたことを写真なども使って具体的に説明しました。さっそく韓国の参加者から質問が殺到します。「農民連会員は農協には出荷しないのか?」「価格設定は?」農民センター事務局長の内田礼子さんが、出荷先が複数ある農家も多いこと、とくに営農も家を建てるのも子どもの学費も、とかく農家の生活は農協と縁が切れないと話すと、「韓国も同じだ」と笑いが起こりました。

 内田さんの「たしかに産直は行事参加など農家の負担も大きい。でも食べる人の顔が見え、“ありがとう″と言ってもらえる。これはお金に換えられない喜びだ。農民にとってどこに出荷するかは生き方の問題でもある」との言葉に、韓国の皆さん全員が大きくうなずいていたのが、とても印象的でした。

 水の供給方法も大きな話題に。石岡市では平均して十アールあたり一万二千円の水代がかかることを紹介すると、「韓国では水は無料です」と一行はビックリ顔に。しかし韓国でも以前は、日本の植民地時代のなごりで「水税」があり、“天が与えし水に、これ何ごとぞ”をスローガンに農民の運動が起こって廃止を勝ち取ったこと、そのたたかいのなかで韓国農民会が結成されたことが明かされ、今度は農民連の参加者がビックリ顔になりました。

困難の大もとを変える共同もっと広げよう

 呼びかけに双方から大きな拍手

 そして韓国の参加者から「産直の取り組みには感動した。新自由主義が世界的に吹き荒れるなかで、私たちは同じ苦しみに直面している。この困難のおおもとの政治を変えるために、私たちはもっと共同を進めよう」との呼びかけに、両国の農民から大きな拍手が起こりました。

 最後に野菜ボックスの詰め合わせ作業を視察し、一行は茨城を後にしました。


連帯深め団結も強いものに…有意義でした

イ・グァンソクさん(会長)

 日本は先進国なので、WTO・FTAのなかでも手厚い保護を受けていると思ったが、そうではなかった。私たちと同じだということがわかった。私たちは十一月の韓米FTAの国会批准阻止に向けて運動を強めていますが、今回の訪問は、日本のみなさんとの連帯を深め、私たちの団結をいっそう強いものにしました。ほんとうに有意義でした。

女性も担い手、支援条例づくりにがんばる

パク・ヨンヒさん(女性農民会)

 私たちは、女性もりっぱな農業の担い手だ、労働力だと主張し、女性農業化育成支援条例をつくるよう自治体に働きかけています。韓国の女性も、一日たりとも家を空けることはたいへんなことですが、女性十人でともに生活できたことがとてもよかった。日本のみなさんからたくさんの元気をいただきました。ほんとうにありがとう。

(新聞「農民」2007.10.1付)
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2007年10月

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