「農民」記事データベース20071008-799-03

農地政策見直しの動向(下)

全国農業会議所 農地・組織対策部長 柚木茂夫さん
(農業・農協問題研究会例会の講演から)


「農地の番人」の役割果たす

 農水省改革案に企業参入の提案

 自民党は昨年十二月に「農地政策スタディチーム」(座長は農林部会長の近藤基彦衆院議員)を発足させ、今年の八月末までに二十二回の会合を開き、二つの「中間とりまとめ」を出しています。その中には、個人の農地の権利取得要件や農業生産法人要件の見直しなどもあげられていますが、「十分な点検・精査のうえ、慎重に対応」という方針です。

 最後に経済財政諮問会議ですが、五月にEPA(経済連携協定)の加速化と農地改革を柱に「グローバル化改革専門調査会」の報告が出され、特に「農地を株式会社に現物出資して株式を取得する仕組みを創設」などの提案がなされました。さらに財界代表の民間議員からは「強い農業への第一歩は、農地の所有から利用への大転換」といった意見も出され、この秋に農水省がまとめる改革案に「反映させるべき」と語気を強めています。

 農地改革の再構築の提案を採択

 私たち全国農業会議所は、「農地は国民への食料供給と国土・環境保全の基盤であり、地域の人々により維持・管理されている限られた貴重な資源」との立場から、五月の全国農業委員会会長大会では「農地政策の再構築に関する提案」を採択し、さまざまなステージ会合で意見を表明してきました。

 具体的には、権利取得要件の枠組みや農業生産法人の要件を堅持すること、特定法人の農地の所有権取得は認めるべきではないなどであり、優良農地をどう確保し、耕作放棄地の発生をどう防止しまた解消していくのか、といった提言です。一部マスコミは「農水省が自作農主義を放棄した、農地の所有よりも利用を重視した法体系に転換」などと報道していますが、私たちは「農地の番人」として与えられた役割を果たしていく所存です。

(おわり)

(新聞「農民」2007.10.8付)
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2007年10月

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