「農民」記事データベース20071008-799-07

後期高齢者医療制度って?

年金から保険料を天引き
介護保険料とあわせ新たな負担に

関連/どうして税金はあがるの?


 来年四月から七十五歳以上のすべての高齢者と、六十五歳以上で一定の障害のある人などを対象とする後期高齢者医療制度が始まります。制度開始で高齢者はどうなるのでしょうか。

 後期高齢者医療制度は、現行の老人保健制度から独立し、国や自治体からの補助、各医療保険からの拠出、七十五歳以上の後期高齢者からの保険料でまかなう制度です。保険料は今後、各都道府県の後期高齢者医療広域連合が決める予定ですが、厚生労働省は年金収入が年間二百八万円の人では月平均六千二百円(年七万四千四百円)になると試算しています。

 年金を月一万五千円以上受給している人は、後期高齢者医療の保険料が年金から天引きされ、介護保険料とあわせて月一万円以上のあらたな負担になるおそれがあります。また制度に便乗する形で、六十五歳以上七十四歳までの高齢者も国民健康保険(国保)料を年金から天引きされることになります。天引きによって、これまでの分納または納付猶予の相談ができなくなります。

 今までの国保は、滞納があっても七十歳以上の人には、資格証明書が発行されませんでした。しかし新制度では、滞納すると保険証を取り上げられ、短期保険証が発行されます。さらに一年間滞納が続くと資格証明書に切り替わります。

 一万五千円以上の年金受給者は、天引きにより滞納は発生しませんが、一万五千円未満の年金受給者などの低所得者は、滞納により医療を受ける権利が奪われることになるのです。

 厚労省は、診療報酬に病名による「包括払い」を導入しようとしています。これは、病気ごとに「いくらまで」と治療費の上限が決められ、診療報酬の額がどんな治療をしても定額になるもの。結果的に、高齢者は、必要以上の治療を受けようと思えば、“自費”でということになります。こうして高齢者が病院から追い出されることにつながります。

 制度は、自民・公明政権が、二〇〇六年の医療制度改悪で決めたもの。与党は、福田新政権発足に伴い、制度に対する国民の批判を考慮して、後期高齢者の一部、約二百万人が負担する保険料の凍結期間を来年四月から一年未満とする方向で検討しています。

 今後の運動で、制度の実施凍結と全面見直しを求めるとともに、保険料の引き下げ・減免、保険証取り上げをやめさせる取り組みが求められています。


どうして税金はあがるの?

愛媛農民連女性部「たらの会」
第1回税金学習会ひらく

 愛媛農民連女性部「たらの会」は、六月からの住民税大増税に農家からも悲鳴があがり、“どうしてこんなに税金があがるの?”という疑問から、税金の学習講座を三回にわたって開くことを計画しました。

 第一回の学習講座は、九月十三日、内子町で開かれ、農作業の疲れで眠気の誘惑に負けそうでしたが九人が参加。

 愛媛県商工団体連合会の田部事務局長が「収入激減でも大増税、そのしくみは?」について話し、税制のありかたや使われ方、値上げされた住民税の計算例などを学びました。

 田部さんは「じっと我慢していないであきらめることなく、“払えないような税金は、憲法に照らしておかしい”という声をあげて、暮らしやすい世の中をつくっていく努力をしましょう」と呼びかけました。

(「たらの会だより」から)

(新聞「農民」2007.10.8付)
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2007年10月

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