「農民」記事データベース20071015-800-01

米価下落対策求め怒りの10・1中央行動

これでは米が作れない 日本から農業が消える

なんと1俵60キロ5000円の赤字!

関連/農民連が全農と懇談

 「一俵六十キロで五千円の赤字! これでは稲作農家がいなくなる! 政府はただちに米価下落対策をとれ!」―。農民連は十月一日、都内で米価暴落にたいする怒りの中央行動を行い、稲作農家、消費者ら二百人が参加。マスコミからも大きく注目を浴びました。(2面に政府交渉など)


要請行動 “米農家の時給256円と聞きビックリ、怒りが”

 農水省前で行われた要請行動では、白石淳一・農民連会長が「稲刈りの真っ最中にこの行動を実施したのは『これでは米作りができない。異常に低い米価を何とかしてほしい』との願いが全国にあふれているからだ」と主催者あいさつ。政府が進めた米「改革」が、米価下落の引き金になったことにふれ、「今日の行動には、農作業を投げ打って参加した人もいる。収穫期で参加できなかった人の思いもつないで、米価下落をくい止める第一歩を踏み出そう」と呼びかけました。

 消費者を代表して、新日本婦人の会(新婦人)の高田公子会長は「農民連との産直を通じて、日本の米が大事だと日々実感している」とのべるとともに、「そのお米を作るみなさんの時給が二百五十六円と聞き、驚きと怒りがわいてきました。これは農家だけの問題ではない。おいしい米を食べられなくなる私たちの問題です」とあいさつしました。

 米農家や農民連会員が怒りを込めて次々に発言。「コンバインのエンジンを止めて、乾燥機のスイッチを切って参加した」という秋田の佐藤長右衛門さんは、九月の秋田北部での集中豪雨で田んぼが冠水したことに言及し、「これでは作況は下がる一方。米が余るはずがない」と批判。宮城の黒澤稔さんは「大規模に米を作っているが、所得は年々下がりっぱなし。今年の異常な低米価はもう限界」と訴えました。

 米農家から「おれの分までがんばってこい」と送り出された新潟の町田拡さんは、新潟市で取り組まれた軽トラック・トラクターデモのようすを紹介し、怒りの広がりを指摘しました。「自治体首長の要求を託されて」参加した岡山の坪井貞夫さんは、自治体が低米価を問題視する広報紙やチラシを発行していることを示し、「農業がつぶれれば町は崩壊する」と警鐘を鳴らしました。

連帯行動 “米価は国民的な課題だ”各団体代表も怒り次々

 引き続いて農水省前で、全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)による連帯行動が行われ、低米価に怒る各団体の代表がマイクを握りました。坂口正明事務局長は「米価問題は国民的な課題。秋のグリーンウエーブでも位置づけよう」と呼びかけました。

 全日本教職員組合の北村佳久さんは、豊作のとき満面の笑みを浮かべて、農家の技術のすばらしさを誇っていた父親を回想し、「それにふさわしい米価であるべきだ。時給二百五十六円は労働者として許せない」と指摘。「おいしい米が食べつづけられるよう、地域からがんばる」と表明しました。


米価下落対策の実現を

農民連が全農と懇談

 農民連は三日、「一俵七千円」を基本とする集荷方針を打ち出し、波紋を広げている全国農業協同組合連合会(全農)を訪れ、懇談しました。

 全農からは米本博一常務理事ほか三人が出席。米本常務は、新集荷方針をめぐって「(マスコミの一面的報道で)迷惑をかけて申し訳ない」と切り出し、四項目の緊急要求について「方向は同じ。今の米価では展望がもてない。せめて政府は安売りしないでほしい。備蓄も計画通り行うべきだ。くず米対策も必要だ」と表明しました。

 農民連の笹渡義夫事務局長は「緊急対策実現のため、力を合わせるときだ」とし、同時に「下落の最大の原因は『米改革』にある。立ち止まって見直しをしなければ米を作る農民がいなくなる。全農は、その方向で努力すべきだ」と提起しました。

 米本常務は「申し入れについては全中とも相談したい。今後も意見交換していきたい」と表明しました。

(新聞「農民」2007.10.15付)
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2007年10月

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