本の紹介
「絵本・新兵衛じぞう」
「資料集・平智地蔵の謎」
安田正明・千恵子 原案/調査・分析
百姓一揆首謀者の地蔵さん
古文書研究からナゾを解読
この絵本は、京都府京丹後市大宮町の平地峠に立っている、高さ三・五メートルの大きな地蔵さんにまつわる物語です。地元の郷土史家、安田正明さんと千恵子さん夫妻が、お寺に保存されていた古文書を十二年にわたって解読・研究した結果、このお地蔵さんは文政の百姓一揆で首謀者として打ち首になり、三十五歳でこの世を去った吉田新兵衛たちを慰霊するために立てられたものと確信を深め、出版にいたりました。幸い、地元出身で著名な絵本作家、津田櫓冬さんの熱のこもった力作で、人々の胸を打つ感動的ですばらしい絵本ができました。
また資料集は、お地蔵さんの建立に寄進した七万五千人におよぶ名簿や古文書、吉田新兵衛に関する資料など豊富に掲載し、郷土の歴史をたどる上でも貴重な価値あるものです。
文政の百姓一揆は、歴史に残る大事件でしたが、百七十年余をへた今日、人々の記憶から忘れ去られようとしています。しかし、民・百姓の窮状を救うため、身を投げ打ってその先頭に立った吉田新兵衛たちの勇気と行動力、組織力は、今日のような混迷の時代だからこそ、想起しなければならないし、後世に伝える義務もあると思います。一人でも多くの人に読んでいただきたい。
(京都農民連 福井愿則)
「絵本・新兵衛じぞう」は一六八〇円、「資料集・平智地蔵の謎」は二一〇〇円。
問い合わせ あまのはしだて出版 TEL0772(22)0018まで
(新聞「農民」2007.10.22付)
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