「農民」記事データベース20080303-818-03

食品汚染シンポジウム

魚介類汚染の実態と問題点をさぐる


 日本科学者会議公害環境問題研究委員会と日本環境学会が主催した「食品汚染シンポジウム―有害物質による魚介類汚染問題―」が東京都文京区で開かれ、消費者、市場関係者らが集いました。(写真〈写真はありません〉

 三人のパネリストが報告。化学物質問題市民研究会代表の藤原寿和氏は、食品汚染をめぐる国際的事件を示しながら、WHO(世界保健機関)、コーデックスなどの国際的機関が汚染防止に果たしてきた役割をのべました。

 ダイオキシンによる魚介類汚染の実態と問題点について報告した弁護士の中下裕子氏は、日本人のダイオキシン摂取で一番多いのが食品経由で九八%、なかでも魚介類が約九〇%を占めている現状を告発。海水域の汚染レベルが高いところでは、魚介類の汚染レベルが高くなり「東京湾、大阪湾、瀬戸内海東部の海域汚染は深刻だ」とのべました。

 また食べる部分によっても汚染度が異なり、内臓、脂質部は汚染度が高くなること、サバ、ブリ、マグロなど食物連鎖の上位にいる魚や大型魚が汚染しやすい実態が話され、「対策として、食物繊維、クロロフィルなどダイオキシン類を排出する食品を多く摂取し、調理の際は、内臓、脂身、皮などを取り除く工夫が必要だ」と語りました。

 環境学会副会長の小野塚春吉氏は、メチル水銀による魚介類汚染の実態と問題点を報告。水俣病にみられるメチル水銀の人体への影響をあげ、水俣病を機に使用量は減っているものの、食物連鎖などを通じて大きな魚に生物濃縮する危険性を指摘しました。

 さらに汚染対策のために、毒性の評価を行い、規制値を決める際の根拠を明確にすることを要求。規制値を例外なくすべての魚介類、加工品に適用し、日本では行政の指導指針にとどまっている暫定的規制値を、食品衛生法の「規格基準」にするなど法による規制に高める必要性を強調しました。

 最後に「妊婦が魚介類を食べる際の摂食量の目安を示した『注意事項』は、規制を補完し、より安全な魚食のためには必要だが、これをもって消費者・胎児の安全が確保されることにはならない。より徹底した周知が必要だ」とのべました。

 東京中央卸売市場が、築地から土壌汚染が検出されている豊洲に移転されようとしている問題で、築地市場の仲卸業者らで作る「市場を考える会」の野末誠氏が、仲卸業者が食の安全に果たす役割を訴えました。「市場外流通で食の安全を守れるのか」と問題提起し、「市場移転は、市場機能を破壊し、食の安全を脅かす。消費者も反対の声をあげてほしい」と呼びかけました。

 日本環境学会会長の畑明郎氏は、移転候補地・豊洲の土壌汚染が深刻な実態を示し、東京ガスや東京都の汚染調査の問題点を指摘、移転の中止を求めました。

(新聞「農民」2008.3.3付)
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2008年3月

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