「農民」記事データベース20080407-823-01

二つの耐性遺伝子もつ
GMナタネ交雑種みつかる

農民連食品分析センター 昨年の自生調査で
石黒所長発表

関連/GM食品表示の法改正要求署名を提出
  /今年も自生調査の参加者募集します


 異なる二種類の除草剤にたいする耐性遺伝子(除草剤をまいても枯れにくい遺伝子)を合わせ持った遺伝子組み換え(GM)ナタネが、農民連食品分析センターによる昨年の調査で発見されました。これは市民団体や行政による調査で指摘されている「交雑種」の自生を裏づけるものです。分析センターの石黒昌孝所長が三月二十五日、国会内で発表しました。

 GMナタネは大きく分けて、種子会社モンサント社が開発した除草剤ラウンドアップ(成分名グリホサート)をまいても枯れにくいタイプと、バイエル社の除草剤バスタ(成分名グルホシネート)をまいても枯れにくいタイプがあります。

 簡易検査キットによる一次試験では、組み換えタンパク質を持つかどうか、PCR法による二次試験では、どちらの組み換え遺伝子を持つかを確認。この二つの試験で、どの除草剤に耐性を持つのかを判定します。

 分析センターの「遺伝子組換えナタネ調査隊」は〇七年に全国で調査し、八十七件のGMナタネを発見。そのうち福岡県博多港で採取したナタネから、二種類の除草剤に耐性をもつ組み換え遺伝子を検出しました。

港周辺、製油会社そば
横浜で市民と共同採取

 遺伝子組換えナタネ調査隊は三月二十七日、横浜市磯子区を中心に、横浜みなみ生活クラブ生協のみなさんと共同で自生調査を行いました。

 昨年八件のGMナタネが見つかった横浜港周辺。今年も参加者は、港に面した製油会社のそばを南北に走る道路沿いを歩き、自生ナタネを採取しました。調査隊が採取・検査した件数は二十三。生協のみなさんの調査とあわせて、今回はGMナタネが検出されませんでした。

 同生協理事長の五十嵐仁美さんは「市民による監視活動は引き続き大事です。さらに監視を強め、その結果を行政に伝えたい」と話していました。

 生活クラブ生協神奈川など市民・農業団体は、神奈川県内で「GM作物栽培規制条例」の制定を求めて、署名、フォーラムの開催など、運動を展開しています。


交雑は相当広がっている

 遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表・天笠啓祐さん GMナタネの交雑は、市民団体が〇六年に千葉で発見したほか、環境省の調査でも広範囲で見つかっています。交雑が相当広がっています。

 交雑については(1)輸出国のカナダですでに交雑種だった(2)カナダで栽培時(3)日本でこぼれ落ち自生したもの―が考えられます。

 交雑によって未承認の、予期しない品種が生まれ、食の安全にも悪影響を与える可能性があります。食料の輸入依存が大きい日本では、自ら食の安全を守ろうとしても、守りきれない事態が生じています。

 GMナタネの自生調査を通じて、日本の農産物を守っていく重要性を再認識し、伝えていく必要があります。


GM食品表示の法改正要求署名を提出

農水・厚労両省に

 遺伝子組み換え食品表示の法改正を求める署名の提出集会が三月二十五日、国会内で行われ、署名の呼びかけ三団体が中心になって、農水、厚生労働両省に提出しました。

 環境保護団体・グリーンピース・ジャパンの棚橋さちよさんが署名の趣旨を説明し、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーンの纐纈美千世さん、都市と農村の交流を進める若者のグループ・トージバの神澤則生さんが署名を手渡しました。

 同署名は、(1)全食品を遺伝子組み換え表示の対象にすること(2)意図せざる混入の許容率(五%)を引き下げること(3)動物用の飼料も表示すること―を求め、二十五日現在で、百一団体が賛同、署名数は十六万一千五十八筆集まっています。


今年も自生調査の参加者募集します

 農民連食品分析センターの「遺伝子組換えナタネ調査隊」は、今年も一般の方を対象に、GMナタネ自生調査の参加を募集します。

 参加希望者は、氏名、住所、電話番号、あればメールアドレスを記入して、農民連食品分析センターまでお知らせください。電話、ファクス、郵便またはメールで受け付けています。

 一回分の検査キットは千二百円になります。振り込み確認後、検査キット、検査マニュアルを送ります。振込手数料はご負担ください。申込期間は六月上旬まで。

《申込・問い合わせ先》

 〒173―0025
 東京都板橋区熊野町四七の一一
 農民連食品分析センターナタネ調査隊
 TEL FAX 03(3959)5660

《郵便振替》

 口座番号 00110―9―391416
 加入者名 農民連食品分析センター
 ※通信欄にナタネ係とお書きください。
 遺伝子組換えナタネ調査隊のホームページ
 http://earlybirds.ddo.jp/natane/

(新聞「農民」2008.4.7付)
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2008年4月

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