「農民」記事データベース20080421-825-15

モザンビーク

ビア・カンペシーナ青年会議に参加して

東南・東アジア地域代表として農民連青年部副部長 杵塚 歩さん

関連/ふるさとの山

モザンビーク地図

 四年に一度開催されるビア・カンペシーナの国際会議が、今年十月、アフリカのモザンビークで開かれます。その際に、青年と女性の集会がそれぞれ二日間の日程で開かれます。

 三月十四〜十七日、モザンビークの首都マプトで、各地域から代表が集まり、十月の青年集会(二回目)の成功に向けた準備会議が開かれました。東南・東アジア地域を代表して、農民連青年部副部長の杵塚歩さんが参加しました。


世界でも日本でもすすむ
農村の貧困と青年の離農

 日本とよく似た問題をかかえて

各地域から集まった青年代表。前列左から3人目が杵塚さん
 日本から参加した私のほかに、カナダ、ドミニカ共和国、ホンジュラス、アルゼンチン、ベルギー、ニジェール、モザンビークの青年が集まりました。

 はじめに、地域や組織の状況を報告し合いました。報告を聞いて興味深いことは、どの地域の青年も、日本とも共通してとても似たような問題を抱えていることです。第一に、新自由主義の下で、家族経営による小規模な農業は破壊され、工業型の大規模な農業がさらに拡大していること。第二に、農業に希望を見出せずに多くの青年が農村から都市へ移住し、不安定な雇用と貧困に苦しんでいること。第三に、地域の伝統や食文化は破壊され、輸入食糧が食の安全をおびやかしていること。第四に、FTAやEPAなどの貿易協定による農産物価格の下落は、農村の貧困と青年の離農に拍車をかけていることなどです。

 そして、これらの問題を解決するために、各地で青年たちが活動していることも報告されました。特に中・南米ではとても活発で、農村と都市の青年が参加する青年キャンプや、農業や政治などについて学ぶことのできる青年学校がベネズエラに創立されたことなど、学ぶべきことがたくさんありました。

家族農業・食糧を守る運動
青年の積極的な参加を

 世界の農業青年立ち上がって…

 次に、この会議で特に強調されたことは、組織内での青年の役割です。ビア・カンペシーナの活動と家族農業、食糧を守る運動を盛り上げるためには、青年の積極的な参加が不可欠です。十月の青年集会では、世界中の青年が交流や議論を通じて理解し結びつくことで、新たな社会の構築に向けた青年の基本的な役割を主張することが、主な目標として確認されました。そして、各地域からの活動報告、テーマ別の分科会、今後の活動方針などの討議が予定されています。

 もちろん、この集会は青年運動にとって一つの通過点に過ぎません。十月に向けて、日本の青年と東南・東アジア地域内の青年の連帯をさらに深いものにしていく絶好の機会です。青年運動の盛り上がりは、ビア・カンペシーナ運動のさらなる発展であり、未来への希望です。青年が青年らしく輝ける社会と農村をつくるために、世界の青年が軌を一にして立ち上がっています。農民連青年部も、海外との交流を通して一層の強化をはかっていきたいです。

成功させたい10月の青年集会

 農地取り上げに対抗し農民組合
  マンヒサとマラクエン

 最終日には、マンヒサとマラクエンという地域を訪問しました。

農民組合の指導のもと、野菜づくりをはじめて1年目の畑を視察(マンヒサ)

 モザンビークの土地は国家の所有です。これまで農民は、地域のリーダーから耕作許可を受け、農地を利用してきました。しかし最近、企業や大農家が地域住民のこれまでの取り決めを無視し、州政府から発行された耕作許可証をたてに農地を収奪しています。

 これに対抗するために、両地域とも農民組織が結成された歴史を持っています。農民組織は、政府との交渉や農民への情報提供の役割も担っています。農民が団結し、組織活動を通じて問題の解決や要求を実現していくことの重要さを再認識する訪問ともなりました。


ふるさとの山

朝日に照らされた岩手山(3月10日撮影)
岩手・八幡平市 鈴木 實

(新聞「農民」2008.4.21付)
ライン

2008年4月

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