「農民」記事データベース20090309-867-07

農協支所の廃止跡を
地域ささえる拠点に

村おこし


おーらい黒田屋

旬の野菜・加工品も売り出す
やすらぎと憩いの場

 京都市右京区京北(けいほく)地域(旧北桑田郡京北町)の黒田地区は、自然豊かな山あいにあります。地域の人たちの交流と憩いの場、「おーらい黒田屋」ができたのは8年前です。

 発足当初からかかわり、いまも役員として“お店の顔”としてがんばっている岩浅溶子さんと前田芳子さんにお話をうかがいました。

 きっかけは「農協の支所がなくなる」ということでした。主な地場産業である林業の低迷で製材所がなくなり、農協も廃止されてしまうということで、遠出のできないお年寄りのためにも、憩いの場や買い物のできる場所を「間を空けないで何とかしよう」と有限会社として発足させました。

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“夏まつり”のようす(08年8月)

 今では、「地域の日用雑貨・衣料品・食料品のお店」として、旬の野菜やおもち(よもぎもちやとちもちなど)、ちまき、米粉などを販売しています。また「食品加工にも取り組んでいきたい」と、米粉ピザのための窯も作りました。豊かな自然を大切に、方波川源流域の保全や手入れにも取り組み、観光事業としてガイドウオークも行っています。岩浅さんと前田さんは「おーらい黒田屋」を中心としたイベントや地域交流の場所の提供を通 じて、「『往来(おーらい)』しやすくやすらぎと憩いの場を守って発展させていきたい」と話していました。


山国さきがけセンター

隣りの診療所とタイアップも
特産品・納豆もち販売

 黒田地区に隣接する山国地区は、盛夏から晩夏にかけてアユの友釣りや投網でにぎわいます。「山国さきがけセンター」は農協支所の廃止にともない、その跡地を利用して農産物加工を中心に8年前に発足しました。代表の高林良樹さんに話をうかがいました。

 さきがけセンターも、農協支所の廃止にあたって、「なにか村おこしに活用する方法を」と考え、候補となったのが六ヶ営農組合で作っている納豆でした。また、農協の跡地を自治会で買い受けることで、農協統合にともなって宙に浮いていたみそ加工所を買い取ることになりました。そして、地元産の米や大豆を利用して、もちやみそ、特産品の納豆もちを村おこしの産品として売り出していくことになりました。

 営農組合と農協の加工を引き継ぐことで「作業する人も技術も味も引き継げた」のがよかったそうです。商工会にも協力してもらって、名古屋や東京へも販路を伸ばしています。店舗はありませんが、事務所の前に地元の野菜を並べるテントを常設して無人販売もやっています。年2回のイベントや出張イベントにもたくさんの人が参加。ほかに農作業の受委託も行っています。「赤字を出さないように、事業として成り立たせていくことが重要」と言う高林さん。隣接する診療所とともに、地域を支える拠点としての発展が望まれていると感じました。

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さきがけセンターの“感謝祭”(08年12月)

 「おーらい黒田屋」と「山国さきがけセンター」には、京北農民組合の仲間も参加しており、精米や保管、野菜の出品などを担っています。

(京都産直センター 益田修次)

(新聞「農民」2009.3.9付)
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2009年3月

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