「農民」記事データベース20090309-867-09

どうなっているの? 日本の水産業 =10=


注目浴びる日本の魚食文化

 現在、世界中で魚の人気が高まっています。世界の魚の供給量は1980年に約5000万トンでしたが、2003年には1億トンと2倍に増加しています。

 地域別にみると、表のように、日本はあまり変化がありませんが、アメリカやインドなどはいずれも2倍に伸びており、特に中国では1980年と比較して6倍以上も伸びています。

 供給量が急激に増加した理由

画像 なぜ、魚の供給量 が急激に増加したのでしょうか。EUやアメリカなどでは、魚は中流階級以上に多く消費されており、経済成長により肉から魚への移行が進んだことがうかがわれますが、経済発展の影響ばかりではありません。「魚を食べると長生きできる」「魚を食べると頭がよくなる」―これは日本ばかりでなく、世界中の知見となっています。

 デンマークのダイアベルグ博士は成人病の研究をするなかで、1970年に魚の脂肪が人間の血管を詰まらせないことを明らかにし、その油はEPA(エイコサペンタエン酸)であることを発見。また1989年には、イギリスのクロフォード博士が、日本人が長寿で子どもの学力が非常に高いことに注目し、これは魚の油にあるDHA(ドコサヘキサエン酸)によるものと発表しました。この2つの研究成果は成人病で悩むEUやアメリカや教育熱心な中国に大きな反響を及ぼしました。

 “長生きできる”と欧米で大人気

 その後、栄養学的な研究も盛んになり、魚には機能性成分としてリチウムや亜鉛、ヨウ素、鉄、カルシウム、タウリン、ビタミン(A、B12、D)などが含まれていることがわかり、がん予防、脳の発達、動脈硬化、高血圧予防だけでなく、貧血、骨粗しょう症、夜盲症などにも効果があることがわかってきました。

 EPAとDHAは、マグロ、サバそしてイワシなどに多く含まれています。これらはいずれも赤味の魚で、欧米人にはあまり好まれなかった魚ですが、最近のすしブームのなかでおおいに食べられるようになりました。

 このように、長寿国・日本の魚食文化が、世界から注目を浴びるようになってきたのです。

(21世紀の水産を考える会 山本浩一)
(つづく)

(新聞「農民」2009.3.9付)
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2009年3月

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