「農民」記事データベース20090309-867-12

旬の味


 宮城県と山形県の県境にそびえる船形山、その懐に一体の不思議な仏像がある▼農家の人たちが田植えを前に、豊作を祈願して山の中腹にある、通称“船形山権現”に集まる。「この坂を登ってくるのはたいへんだよ。でも百姓だから『豊作になりますように』とお願いするんだ」―神職がふだん立ち入ることのない森の中へと消えていく。仏像がこの森のどこかに埋められているのだが、その場所は一子相伝、一人だけに代々伝えられている。しばらくして神職が戻ってきた▼大事に抱えられた木箱に、掘り出された仏像が入っている。いよいよ年に一度のご開帳。あらわれたのは小さな菩薩像。6世紀に仏教が伝来した当時、朝鮮半島で作られたと伝えられる金銅仏は、頭に大きな花飾りを付けている▼人々は、小さな仏像を食い入るように見つめる。気になるのは、金銅仏が濡れているかどうか。その様子で一年の豊凶がわかるという。やさしいお姿の仏像は、農民を苦しめる悪政をいさめているようにも見える。

(あ)

(新聞「農民」2009.3.9付)
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2009年3月

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