「農民」記事データベース20090323-869-03

畜産農民の声無視した答申

畜産部会 価格安定策など据え置き

関連/最高裁が不当判決


 食料・農業・農村政策審議会畜産部会が3月5日に開かれ、(1)加工原料乳の生産者補給金単価(11・85円/キログラム)と限度数量、(2)牛肉・豚肉の安定価格、(3)指定肉用子牛の保証基準価格と合理化目標価格について審議した結果、すべての項目で「昨年7月の改定価格と同額に据え置く」という答申を出しました。これは飼料代や資材の高止まりに苦しみ、乳価や肉価の引き上げを切望する畜産農民の声をまったく無視した答申内容です。

 審議では、養豚や肉用牛、酪農などを営む委員から「穀物価格は依然として高く、経営対策を充実させてほしい」、「畜産農家が再生産できるような価格対策を早急にとってほしい」などの意見が相次ぎました。消費者団体の委員から「消費者は安定供給をのぞんでいる。国内の畜産農家の経営が継続できるよう支援策をとり、安定供給を確保してほしい」などの声が上がったほか、「3月からの牛乳価格の値上がりで需要が冷えこんだ場合のセーフティーネットを万全にしてほしい」という意見が、多くの委員から相次ぎました。

 畜産部会の答申としては、農水省の事務局によって作成された「価格据え置き」という答申案がそのまま承認されましたが、審議で出された畜産の厳しい現状を反映して、「輸入飼料に依存した畜産から国産飼料に立脚した畜産に転換するため(略)、耕畜連携・水田フル活用によるホールクロップサイレージや飼料用米などを推進すること」などの11項目からなる「建議書」が付け加えられました。

 5日には、政府・自民党が、「加工原料乳補給金単価は据え置くが、別途対策で15銭上乗せする」「マルキン(肉用牛肥育経営安定対策)、補完マルキンに加え、1頭あたり基礎奨励金1万円、追加奨励金7000円を支援する」などの対策を決定しましたが、農民連・畜全協が求めている「30円以上の乳価引き上げ」「マルキンの物材費補てんを10割に引き上げる」などには遠く及ばない内容です。

まったく腹が立つ

北海道農民連 石沢元勝さん(酪農家)

 酪農の現場からすると、答申もひどいが、「15銭上乗せ」という乳価も経営の足しにはなりません。農民連の交渉で農水省はよく「ルールにのっとって」と言い、現場からの声に冷たく背を向けます。しかし自民党の要求は通すわけですから、ぜんぜんルール通りでないのも、たいへん腹が立ちます。

 やはり飼料代など上がった分の生産費をきちんと反映して、酪農家が生活できるような、まともな乳価制度が必要です。乳価による保障は、どの酪農家にも支援がゆきわたる支援策です。政策誘導的な、酪農家に不平等をもちこむ関連対策でなく、乳価保障こそすべての酪農家が求めているものだということを強く主張したいと思います。


最高裁が不当判決

明治争議団の要求棄却・不受理

 最高裁判所は2月17日、明治乳業市川工場の賃金・昇格差別不当労働行為事件について、「上告棄却・不受理」という不当な判決をくだしました。

 明治乳業市川工場で働く労働者(上告人)と争議団は、2007年6月の東京高裁の判決を不当として上告。この間、要請行動や最高裁前の宣伝活動など、原審判決の違法性を詳細に明らかにしてきました。また、農民連はじめ、各界各層から5000を超える上申書を提出し、「上告を受理し、弁論を開始すること」を求めてきました。

 明治乳業争議支援共闘会議や争議団は、不当判決に対する声明の中で「私たちは、不当な差別の是正を求めるだけでなく、食品企業における相次ぐ不祥事のもとで、酪農家や消費者とも協力して食品の安全を守るための取り組みを行ってきた」「不当な決定を乗り越え、争議の全面解決をめざして引き続きたたかう」と表明。2月27日には明治乳業本社前で座り込み抗議行動をおこない、今後も本社包囲大行動やデモを計画しています。

 農民連も引き続き支援を強めていく決意です。

(新聞「農民」2009.3.23付)
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2009年3月

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