「農民」記事データベース20090323-869-05

クローン牛・豚肉が食卓に!?

食品安全委が「安全」宣言

関連/クローン家畜製品 欧米で広がる“ノー”

 体細胞からコピーして作られた牛や豚(クローン家畜)の肉や乳製品が食卓に上ることに? 内閣府食品安全委員会が体細胞クローン家畜の市場流通にOKを出そうとしています。いくら「安全」と言っても、あなたは食べられますか?


 食品安全委員会の専門調査会は3月12日、クローン牛や豚の食品としての安全性について、「従来の繁殖技術で生まれた牛や豚と差がない」とする評価書案をまとめました。今後、同委員会で正式決定し、最終的な評価結果を厚生労働省に報告します。

 クローン技術とは、受精卵や体細胞から遺伝的に同じ動物を作り出す技術。遺伝的に同じ兄弟姉妹をたくさん作り出す技術を体細胞クローン、遺伝的に同じ子孫をたくさん作り出す技術を受精卵クローンといいます。


 奇形、消化管異常…  食品安全委員会の第3回体細胞クローン家畜ワーキンググループ(昨年7月)に提出された、クローン牛についての知見の一部。

 ・出産中に死亡した9頭の臨床的徴候と剖検(解剖と検査)の結果には、加温症、臍(へそ)ヘルニア、呼吸困難、胸部と腹部の腹水症、脂肪肝、四肢(し)奇形、様々な消化管異常が含まれていた。

 ・死亡した6頭のクローンは腎臓あるいは後肢に重大な形態的異常を示した。このような症状を示した子牛の血液から奇形を引き起こすアカバネウイルス抗体が見つかった。


消費者に不安、農家の努力を軽視

畜産農民全国協議会会長  森島 倫生さん

画像 精子と卵子が出合って、そこから細胞分裂が始まり、生命が形づくられます。そこに手を加えることは、神の領域に踏み込むようなものです。

 食の安全・安心にかかわる問題なので、100年ぐらいかけて議論してもらわないと納得できません。とても科学的とは言えないと思います。

 農家は時間と手間をかけて改良を加えながら、良い豚や牛を作っています。

 クローン家畜が流通するようなことになれば、消費者に不安を与えると同時に、農家の努力を軽いものにします。


クローン家畜製品
欧米で広がる“ノー”

EU 科学者がOKでも不買の声

 欧米でもクローン家畜製品に異議を唱える動きが広がっています。

 欧州委員会(EU)が08年7月に行った世論調査によれば、58%の人がクローニング技術の食料生産への利用は「決して正当化されない」と答え、一定の状況での食料生産への利用を認める人は28%にとどまりました。

 食品としての安全性について、たとえ科学者が「安全」と言っても、クローン動物の肉やミルクを「買わない、買いそうもない」と答えた人が63%にのぼりました。

 欧州食品安全機関(EFSA)は08年7月、クローン動物の食品安全・動物の健康と福祉・環境への影響について、「データが制限された複雑にして変化しつつある科学の技術」であり、「単純に答えることはできない、あるいは保証を与えることはできない」と結論付けました。

 アメリカの食品安全センターと「地球の友」が08年9月に行った調査によれば、主要食品メーカー・小売業者20社が、食品にクローン動物を使わないと回答しました。

(新聞「農民」2009.3.23付)
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2009年3月

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