「農民」記事データベース20101101-947-01

食料・農業を破壊するFTA・EPA

対抗市民行動 in 新潟
国際フォーラム・提灯(ちょうちん)パレード

APECを自由化促進の場にするな

 農民連と全国食健連(国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会)、新潟食健連(にいがた食と農と健康、教育のネットワーク)は10月16日、APEC(アジア太平洋経済協力会議)の食料安全保障担当大臣会合が開かれている新潟市で、国際フォーラムと提灯パレードの対抗市民行動を行いました。地元新潟をはじめ、北は北海道から南は宮崎まで全国から238人が参加。「自由化と食料自給率向上は両立しない。全国でたたかいを強めよう」と誓い合いました。


〈パネリスト(敬称略)〉
農民連副会長・国際部長    
韓国・全国農民総聯盟政策委員長
よりよい学校給食を考える会代表
新潟県農民連会長      
 
真嶋良孝
イ・チャンハン
坂本典子
今井 健


「日米FTA」が起爆剤に
菅政権の危険なねらい暴露

 食料自給率向上とは両立しない

 韓国の農民代表を迎えて開催した国際フォーラム「FTA・EPAは食料・農業を破壊する」で、農民連の白石淳一会長が主催者を代表してあいさつ。「民主党の菅首相は、APECをテコに一気に農産物の自由化路線を進めようとしている。これは日本農業を壊滅に導くものであり決して許されない。APECを自由化促進の場にしないよう、対抗市民行動を成功させよう」と呼びかけました。

 首脳会議ひかえ新たな段階に

 フォーラムは、全国食健連の坂口正明事務局長がコーディネーターとなって進められ、農民連の真嶋良孝さんは、「新たな段階に入ったFTA(自由貿易協定)・自由化戦略」について報告しました。真嶋さんは、菅内閣の第2回新成長戦略実現会議(10月8日)に提出された資料を示して、「APEC首脳会議を控えて、さらに突っ込んだFTA推進戦略を検討している。その柱は、日米FTAだ」と強調。日米FTAの推進を、(1)市場開放の「起爆剤」にする、(2)ほかのFTA推進のテコにする、(3)完全自由化の意思を表明し、それに伴う犠牲を受け入れる覚悟で臨む―という菅政権の危険なねらいを暴露しました。そして、「今日の行動をたたかいの狼(のろ)煙(し)にして、私たちができることをすべてやりつくして阻止しよう」と訴えました。

食糧主権実現の声 世界中に

 韓国の仲間に元気をもらった

 韓国のイ・チャンハンさんは、冒頭、「韓国にいるのか日本にいるのかわからなくなった。あまりにも農民の状態が似ていて身震いする」「なぜ、そうなっているのか。両国政府が新自由主義の政策で、多国籍企業がもうける仕組みをつくり農民には自己責任を強いているからだ」と指摘。韓国でのFTAの現状と国民のたたかいを紹介し、「農民だけのたたかいでなく、幅広く環境団体などにも呼びかけ、食糧主権の実現をめざしていこう」と述べ、最後に、いつも手に持っているという「農民」という詩を読み上げました。

 学校給食を考える会の坂本典子さんは、「戦後、アメリカの援助で学校給食にパン食が導入され、日本食がすっかり壊されてしまった」とアメリカの食糧戦略を批判。「成人病がまん延する中で、日本食が見直されており、いまこそ、ご飯や大豆を食べよう」と提唱し、韓国に伝わる「身土不二」の考え方に学び、「正しい食文化を取り戻そう」と訴えました。

 新潟県農民連の今井健さんは、「農民が顔をあわせれば、『収量が少ない』『等級が悪い』『価格が安い』の三重苦だと悲鳴があがっている。これは政治災害だ」と述べ、「“米つくって飯くえない”の声を地域で広げよう」と呼びかけました。そして、「この行動で新潟県連は全国の、そして韓国の仲間から大きな元気をもらった。これを力に前進したい」と決意を述べました。

画像
ぼんぼりや提灯をかざした農民・市民の声がとどろきました(撮影=西潟和幸さん)

 ひどい米価暴落やっていけない

 会場から、「戸別所得補償制度では、農家の経営は守れない」(北海道)、「今の米価は5000円札を張り付けてやっと生産費の水準だ。これではやっていけない」(宮城)、「県の銘柄米の品質が悪く、農協が買い取ってくれない。非常事態だ」(埼玉)など、各地の実情が報告されました。

 最後に、「私たちは、多国籍企業の利益を優先し、各国の国民・勤労者に格差と貧困を押し付ける貿易自由化に強く反対する」「私たちは、世界の仲間と連携して食糧主権の確立を要求する。将来にわたって豊かな地球環境の恵みを享受するために、ともにたたかうことを呼びかける」というアピールを採択しました。

 集会後、夕闇の中、参加者はアピールを書いた提灯をかざして新潟駅めざしてパレードしました。「APECで自由化合意するな!」「食糧主権を確立しろ!」と声をあげると、店舗から出てきて声援を送ったり、手を振ってこたえる市民の姿も見られました。

(新聞「農民」2010.11.1付)
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2010年11月

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