MOP5閉会名古屋・クアラルンプール補足議定書採択
遺伝子組み換え被害に補償
遺伝子組み換え生物(GMO)などの国際取引のルールを定めたカルタヘナ議定書第5回締約国会議(MOP5)は10月15日、採択地と交渉が始まったマレーシアの首都から命名された「名古屋・クアラルンプール補足議定書」を採択して閉会しました。 |
ビア・カンペシーナは10月21日、記者会見を行い、COP10にのぞむにあたって「家族農業は生物多様性を守る」立場を表明しました |
最後に、GMナタネによる汚染問題などの状況に対して「カルタヘナ国内法など現在の日本の国内法では対応できないのが実情です。名古屋・クアラルンプール補足議定書、そしてカルタヘナ議定書の内容を余すところなく反映する国内法を1日も早く整備することが、これからの日本の課題」と指摘しています。
汚染が深刻化するGMナタネの問題では、農民連食品分析センターが各地の自生状況を調べ、市民団体の検査依頼にも応じてきました。ブロッコリーなどアブラナ科植物との交雑とみられるものも検出しています。分析センターのこうした活動が、補足議定書の採択という形で実を結びました。
MOP5市民ネットは16日、「プラネット・ダイバーシティ・MOP5報告会」を名古屋市内で開き、共同代表の天笠啓祐さんが「声明」を読み上げました。
市民ネット運営委員の真下俊樹さんが、補足議定書の残された課題について解説。「GMOによって損害が生じた場合、損害を与えた企業に過失がなくても責任を問える、民法の製造物責任のような制度の創設が今回は見送られた」と述べ、「賠償の対象となる損害の範囲も、『測定可能または観察可能』かつ『重大な』という限定がついた」と指摘しました。
そして、市民ネット共同代表の河田昌東さんが「きょうを出発点にカルタヘナ国内法の改正に向けて力を合わせよう」と呼びかけました。
補足議定書の骨子
▼GMOが生態系や人の健康に被害をもたらした場合、輸入国は原因事業者を特定し、原状回復を求めることができる。
▼事業者には、GMOの保有者、開発者、生産者、輸出入業者、輸送者などを含む。
▼GMOなどから作られた「加工物」も、損害との因果関係が証明された場合には適用される。
▼原因事業者が補償しない場合、政府が代執行する。
▼政府は事業者に、あらかじめ原状回復できるよう基金創設などを求めることができる。
[2010年11月]
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