「農民」記事データベース20101122-950-05

食の安全・市民ホットライン立ち上げよう

消費者団体などのシンポで提案

関連/種子消毒・野菜防カビ剤の農薬 食品添加物に認可する動きが…


情報を集め、大いに活用を

 食の安全・監視市民委員会や日本消費者連盟、主婦連合会など9団体が共催して10月23日、「食の安全・市民ホットラインの提案」シンポジウムが都内で開かれ、50人余りが参加しました。

 主催者を代表して、弁護士で食の安全・監視市民委員会代表の神山美智子さんが、「市民が作るホットラインの意義」について報告しました。

 神山さんは、「消費者庁にも事故情報データバンクがあるが、事故に至らなければ表示偽装や誇大広告は掲載されない。商品名などすべて匿名で、消費者は、どうなっているのか知ることもできないし、書き込むこともできない。消費者の権利が法的に明記されていない」と批判。「被害防止と被害者の救済のために、市民が自由に書き込める民間の情報収集機関として『食の安全・市民ホットライン』を立ち上げよう」と呼びかけました。

 食の安全・市民ホットラインは、一般の人が食品偽装や表示違反、食品が原因の体調不良など、食の安全を危うくする情報をメールやファクスなどで提供し、その情報をデータベース化するとともに、事業者名や商品名を記号化してホームページに掲載します。必要がある場合には、事業者への警告や行政への法的な措置を要求します。さらに、重大・緊急と判断した場合には、個別企業名や商品名を公表することにしています。

 美作(みまさか)大学大学院の山口英昌教授は、お手本とした国土交通省の「自動車の不具合情報」と大阪での条例づくりについて報告するとともに、食の安全・市民ホットラインの情報収集や運営などについて、「当面はコア団体を中心に試験運用し、今後、市民団体や消費者に共同運営を呼びかけたい」と提案しました。

 また、主婦連合会会長の山根香織さんが、主婦連に寄せられた苦情と主婦連の取り組みについて報告し、日本消費者連盟事務局長の山浦康明さんが、消費者庁の事故情報データバンクを検証しました。

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左から山浦、神山さん、山口さん、山根さん

 参加者からは、食の安全・市民ホットラインの提案を歓迎する意見が相次ぎました。神山さんが「農民連食品分析センターの情報もぜひ提供してください」と発言すると、参加していた食品分析センター所長の石黒昌孝さんは「おおいに共同してやりましょう」と答えました。

 食の安全・市民ホットラインの試行ホームページ http://www.fsafety-info.org/


種子消毒・野菜防カビ剤の農薬
食品添加物に認可する動きが…

 農薬を食品添加物として認可しようという動きがあります。その農薬とは「フルジオキソニル」というチバガイギー社(現シンジェンタ社)が開発した殺菌剤で、種子消毒や野菜防カビ剤として登録されています。牛肉や牛乳には0・01ppm、穀物には0・02ppm、乾燥バジルには50ppmなどと、フルジオキソニルの残留基準値が決められています。

 ところが厚生労働省の薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会は10月8日、「添加物として指定することは差し支えない」と結論づけました。そして、使用できる果物としてりんごやもも、みかんを除くかんきつ類など12品目を指定。残留基準を一部緩和し、ポストハーベストとして使用することも可能となりました。

 今まで、イマザリル、TBZ、OPP等5品目の農薬が特別に食品添加物として認められてきましたが、これを拡大することは問題です。

 日本生協連も、健康影響調査について「十分なデータに基づいて検討したうえでリスク評価の結論を出すべきだ」との意見を提出していました。提案した商社は「商業取引上、必要だ」と言いますが、農薬は農薬であって食品添加物ではありません。農薬を食品添加物として認可すべきではありません。

(農民連食品分析センター所長 石黒昌孝)

(新聞「農民」2010.11.22付)
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2010年11月

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